台湾基隆港から東北に約5海里(約9キロ)の海上で19日、砂利や石材を専門に運ぶガット船「海翔8号」が転覆する事故が発生し、乗組員15人のうち6人が死亡、船長と乗組員1人の行方がわからなくなっている。
基隆海上保安隊員によれば、19日未明、台湾北部の基隆港を出て東部の花蓮港へ向かった「海翔8号」は、出港後まもなく傾き、ゆっくりと沈んでいったという。
救助された乗組員は、「事故発生当時、海上の波は低く船は時速5ノットのスピードを維持していた。なぜ沈没したのかわからない」と話した。
事故の原因については現在調査中だが、交通部航港局北部航務センターは、船に積んでいた砂などが雨水によって泥状になり、さらに強風を受けたために「自由界面」効果を作り出し、船体の傾斜に拍車をかけたのではないかとみている。
また、この船に乗るはずだった機関長は、体調不良で一時帰宅したために難を逃れた。機関長は出港前の海上保安隊員による人数確認後、体調が悪くなり家に戻って休むことにしたという。しかし、薬を飲んだためにぐっすり眠ってしまい、船の出航に間に合わなかったと話している。一時帰宅することは船長に報告していなかったそうだ。
交通部航港局北部航務センターは、機関長の不在と船の事故には直接的な関係はないとみているが、機関長不在にもかかわらず出航したことは、交通部が定める「航行船舶船員最低安全配置標準」に反するとし、船主には6万元から30万元の罰金が科せられるという。
事故の原因だけでなく、船長が機関長の不在を知っていたかどうかも重要なポイントになっているが、現在船長の行方は依然としてわかっていない。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)