先日、タイ中部アーントーン県のとある村の家の前に、洪水によって遺体保存用の冷蔵庫が流れてくるという騒ぎがあった。
洪水被害が拡大し深刻な状況下にあるタイ。連日、被害の大きさや人びとの避難生活の様子が報道され、我々に大きなショックを与えている。洪水によって建物やモノが流されただけでなく、ワニや毒蛇、爬虫類といった動物も水の中に流れており、ワニが突如家に現れたといった事態も発生している。
そんななか、タイ中部アーントーン県内の村では、ある変わったものが流れ着いてきて、人々を驚かせた。
今月上旬、村はアユタヤからの水が一気に押し寄せ水に浸かった。水位が2mにまでなったところもあったという。村人は小船にのって身一つで避難した。
そして避難生活中に家の様子を見に行くため船をだしたラウェーンさん(46)は、自宅の前で驚きのモノを発見したのである。自宅前のバナナの木の下に、遺体を保存するための冷蔵庫が流れ着いていたのだ。
ラウェーンさんはすぐに村人何人かを呼び、一緒に中を確認して欲しいと頼んだ。とはいえ、遺体を保存するための冷蔵庫をあけるのはやはり不気味である。村人達はどうも乗り気ではない。
しかし、家の前にもしかしたら遺体が入っているかもしれない冷蔵庫をこのまま置きっぱなしにしておくのは、ラウェーンさんとしても気味が悪い。そこで、恐る恐る開けてみたところ、幸いにも中身は空っぽだったという。
この話を聞きつけた近所の寺の住職は、その冷蔵庫は自身の寺のものであることを告げた。ラウェーンさんは、早急に冷蔵庫を引き取るよう依頼したが、住職は今寺は洪水で大変な状況なので、落ち着くまでしばらくそこに置いてほしいと頼んだそうだ。
いくら遺体が入っていないとはいえ、なんとも不気味なモノを家の前に保管しなければならなくなってしまったラウェーンさんは複雑な心境だとのことである。
(TechinsightJapan編集部 若曽根了太)