カリフォルニア州の州都サクラメントで、アルコール依存症の男が泥酔したまま訪れた地元のリカーストアで、居合わせた客が連れていたペットのニシキヘビに突如咬みつき、大ケガを負わせた。男は動物虐待の罪で警察に逮捕されたが、何故こんなことをしたのか、全く覚えていないという。
普通はヘビが人間を咬むものだが、そのヘビに咬みついた人間の話は、あまり聞いたことがない。
サクラメントに住むデヴィッド・センク(54)は自ら認める、「長年のアルコール依存症」だ。今月1日、いつものように地元のバーで、数時間飲酒を楽しんだ後、自宅近くのリカーストア「ミニマート」までふらふらとたどり着いたが、どうやって店に着いたか覚えていないほど泥酔していた。
ミニマートの外には数人の人だかりが出来ており、中には一人の女性客がバックパックに入れて連れて来た、ペットのニシキヘビがいた。ニシキヘビはベージュとブラウンのマダラ模様が美しいメスで、体長約106cm。人々は代わる代わる首に乗せたりして面白がっていたが、そこにセンクがやってきて、ヘビと遊ばせて欲しいと頼んだという。
そこで何を思ったのかセンクは、突如ニシキヘビのお腹の真ん中辺りに、2回にわたり「ガブリ」と咬みつき、肉の一部を飲み込んでしまったのだ。ヘビはお腹にパックリと大きな穴が開き、筋肉が裂けて大出血。肋骨を3本折るという、見るも無惨な重傷を負った。
センクは顔面に血を滴らせ、目の回りには黒いあざが出来た状態で倒れているところを、駆けつけたサクラメント警察に、動物虐待の罪で逮捕された。顔のあざは、ニシキヘビの飼い主のエイドリアン・ブールウエアさんが、ペットが咬まれたのを見て、すぐに数発パンチをお見舞いしたためだ。彼女は「男を思いっきり殴ってやりましたよ。」と興奮気味に地元TV局『KXTV』に語った。
サクラメント警察によると、センクはその場にいた時から、言っていることが不明瞭だった。そして、ヘビがセンクを挑発したわけでもないのに、何も言わずに突然ヘビに咬みついたという。
負傷したヘビはすぐに動物保護局の獣医の元で、折れた肋骨2本を取り除き、15針を縫う緊急手術を受けたが、以後順調に回復しているそうだ。元々飼い主が十分な世話を行なっておらず、水分や栄養不足が深刻であったため、そのまま保護局が引き取ることになった。
センクは獄中で地元TV局『KOVR』の取材を受け、ヘビを咬んだことについて、「何てひどいことをしたんだと思う。ここから出られたら飼い主に治療費を払うよ。」としおらしいコメントをしているが、当日のことについては全く覚えておらず、記憶が完全にブラックアウトしていると語る。「本当に奇妙なんだ。まず手始めに、どうやってヘビが手の中に入って来たのか、全くわからない。」
リポーターにスマートフォンでヘビの傷跡の写真を見せられると、センクは「これがオレが咬み切って開けた穴かい? Oh, Geez」と本当に驚いた様子だ。そして、シラフに戻ったセンクは皮肉にも「オレはヘビがあまり好きじゃないし、咬んだりはしない。普通はヘビが人間を咬むもんだ。」などと語っている。人間は酔うと時として説明出来ない不可解な行動をとるものだが、ヘビを咬んで逮捕された酔っ払いは、恐らく前代未聞だろう。
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)