南アフリカでは銅線などのケーブルがよく盗まれる。盗んだ人は換金して「ラッキー」ということで終わるが、盗まれたほうの損害は換金した金額どころではない。現在の南アフリカの目玉とも言える「ハウトレイン」までもが被害を受け、エネルギー省はようやく本格的に取り組む姿勢を見せた。
8月18日、政府インフラ開発会議において、南アフリカのエネルギー省長は当省が司法局に銅線窃盗の罪を重くするよう変更してもらいたいという案を提出したことを発表した。現在、銅線を盗んだ場合は単なる「窃盗」の微罪扱いである。しかし、銅線を盗まれたことによって発生する損害は、微罪以上のものだという。
銅線は主にエネルギー、輸送機関、通信事業などに利用されており、これが盗まれると経済的な損失は大きい。昨年だけでも盗まれた銅線はおよそ1億ランド(約11億円)ともいわれており、それに派生する損害はそれをはるかに超えた額になるという。
昨年のワールドカップ以降始動しているヨハネスブルグを走る列車『ハウトレイン』でも、ここ2週間で2回も銅線が盗まれており、運転が一時見合わされた。
銅線を盗んだ人はすぐに金属買取業者に売ってしまうため、足が付きにくい。また警察でも窃盗として捜査をするため、本腰を入れるという感じではない。逮捕されても罪が軽いので、犯罪は繰り返される・・・こういった悪循環を一掃するためにも、銅線の窃盗に対して「経済破壊活動行為」と変更して罪を重くするべきだという。『ハウトレイン』の操業会社は政府に対しても銅線の窃盗防止の強化と、重罪扱いへの変更を求めている。
経済の損失は、観光客の減少にも大きくつながってくる。世界中からそして南アフリカ人からも失望されないためにも、銅線の窃盗は減ってもらいたい。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)