2010年11月に起こった殺人事件。新婚旅行にケープタウンへ訪れた2人がカージャックされ、新郎が途中で降ろされ、新婦が銃で撃たれて死亡するという事件が起こった。後日、新郎がケープタウンで人を雇って殺したことが発覚し、イギリスで逮捕された。この逮捕された新郎シュレイン・ドゥワニに関するウワサは「借金を抱えている」「実はゲイだった」など絶えない。そんなドゥワニがイギリスでの取調べで、南アフリカの刑務所に難癖をつけているという。
逮捕後のドゥワニは後日南アフリカで刑務所生活を送ることになる予定だと言われているが、南アフリカの刑務所のひどさは世界的にも知られているのか、ひどく怯えているそうだ。
5月6日の新聞によると、ドゥワニは「もし南アフリカの刑務所に引き渡されるのならば、独房でお湯が利用でき、しかも水洗便所でないとダメ」と要求。さらに「安全を確保するためにも、常に監視してもらいたい」や「刑務所への移送は他の囚人たちと一緒なのはいや」など、犯人の立場を忘れた傲慢なリクエストを提示しているそうだ。
これらの発言は南アフリカの司法制度について疑問を投げかけることとなった。「初めてポールスモール(ケープタウンの悪名高い刑務所)に送られる普通の南ア人には、どう対処するつもりなんだ」「政府は、外国人のほうが地元民より大事だと思っているのか」などの声があがっている。一方、刑務所の質が悪くなければこの問題は起こらなかったはずだと、現行の環境の悪い刑務所への非難の声も出ている。
南アフリカの囚人人権保護団体は、ドゥワニが富豪出身なので、有力者が彼の待遇をよくしようとしていると指摘。世界中のミリオネアは、如何なる場所でも一般人より待遇が良い。もしドゥワニが庶民だったならば、こんな問題は起こるはずがないと述べている。
警察・刑務所人権団体(Popcru)は「もしドゥワニが南アフリカで拘留されるのならば安全を確保するというのは、不公平だ。彼は犯罪者であり、他の同罪の犯罪者と同等に扱うべき。もしドゥワニが来るのならば、南アフリカで収まるべき場所に送還する」と南アフリカ人を守る発言をしている。
そして、犯罪防止及び更生保護機構(Nicro)は、ドゥワニの待遇は難しい状況と述べている。16万5千人の囚人が入っている刑務所は収容率が135%とすでに超満員の状態。「これが南アフリカの現状であり、税金を支払っているわけでもない国民でもない人に対して、我々が特別な待遇を認めるとでも思っているのだろうか」とドゥワニの発言に反発を覚えているようだ。
これだけ南アで叩かれているドゥワニだが、実際南アフリカでギャングだらけの刑務所に入ったら想像以上の待遇が待っていることだろう。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)