4月24日夜、プレトリア大学の獣医学病院で2頭の犬が死亡した。これでプレトリア近郊で発生した犬の死亡事故は16頭目となった。どうやらドッグフードに何かが混入されているようだ。
2頭のボーアブル(南アフリカ共和国原産のマスティフ犬種)の飼い主は、犬たちはいつもHi-Proというドッグフードを食べていたこと、ドッグフードの中身が新しいのにも拘らず腐っているようで犬たちが食べなかったこと、そして、新しいドッグフードを買い与えても食べようとしなかったことを語っている。このとき既に犬は何らかの兆候を示していたのかもしれないが、結局その後すぐに死亡した。
飼い主はHi-Proを生産している会社を訴えることを考えている。
犬の死亡は先週だけでも12頭、現在までで今回のボーアブルを含めた16頭が死亡している。主にプレトリア北部で発生しているが、ヨハネスブルグなどでも同じような現象が起こっているとも考えられている。
ある筋によると、犬たちはアフラトキシン中毒にかかったのではないかという見方を強めている。これはある種の青カビが作り出す毒素で、食欲不振や肝臓・腎臓の障害を引き起こすといわれている。
疑われているドッグフードからは、マイコトキシンと呼ばれるカビの一種が発見され、さらにアフラトキシンの含有量が『非常に高い』という結果も出ている。このマイコトキシンは植物に含まれることが多く、収穫技術の低さや植物の貯蔵環境が悪いとアフラトキシン中毒を引き起こす要因となる。
獣医学者によると、このエリアに住む人々は低所得者が多くドッグフードも安いものを買わざるを得ない。動物たちは普通ならば警戒して食べないが、本当にお腹がすいていてそのドッグフードしか食べるものがないならば食べてしまうだろうと話している。また犬がどれぐらいの期間、量を食べているかによって生存の可能性もあるが、獣医に運ばれてくる段階で犬は非常に弱っており、一夜で亡くなっているそうだ。
新聞社ではドッグフードメーカーのHi-ProとBuddiesの連絡先を手に入れたが、誰も電話にでなかった。また、Legendと呼ばれる会社は存在すら確認されなかった。
いずれにせよ人間の技術の悪さなどで起こっている犬の殺人ともいえる。犬の健康を支えるはずのドッグフードが健康を損なわせているのは問題だろう。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)