01年9月11日の世界同時多発テロ発生時に、崩壊したワールドトレードセンター跡地に向かい救助活動に参加したニューヨーク市消防局の元消防士が、日本の東北関東大震災の惨状をTVで見て「いてもたってもいられない」と自費で宮城県仙台市入りし、ボランティア救援隊として被災地を手伝っている。
この元消防士の名前はトム・クラークさん(50=写真)といい、ニューヨーク州スタテンアイランド出身。ニューヨーク消防局を約20年前に引退し、現在はミネソタ州で暮らしている。01年の世界同時多発テロ発生時は、かつての同僚達も多数犠牲になったグラウンドゼロへ駆けつけ、救助活動を手伝った。また、昨年1月のハイチ地震の時も同じように現場に駆けつけ、救助活動に1ヵ月間を費やした。
そして今年3月11日、日本の東北関東大震災の惨状をTVで見たクラークさんは、迷わず自費で日本行きの航空券を購入した。ニューヨークのCBS2ニュースの取材に応じたクラークさんは「大量の人が一度に犠牲になったことが、私を駆り立てた。9.11のグラウンドゼロも、ハイチ大地震の現場も体験して来た自分が、TVで日本の惨状を見たとき、現地に行くことに何も疑問は湧かなかった。それは“行くべきか? 行かないべきか?”ではなく、“オレは行く。そのためにはどうしたらいい?”という感じだった。」と語った。
日本到着後は、被災地に行くバスのキャンセル待ちをし、バス停で夜を明かすなどして苦労しながら3月15日頃、宮城県仙台に到着したクラークさん。まずはボランティアとして受け入れてもらうために、1日を費やした。「赤十字の対策本部に行き、どうか手助けをさせてくれと懇願しなければならなかった。彼らは自分がここまでやって来たことが、信じられなかったみたいだ。」
ようやく救助隊として稼働したクラークさんが驚いたのが、生存者がほとんど見つからないことだった。「遺体も、生存者も見つからない。だが奇跡を信じて、この地を去る日までギブアップしないつもりだ。」家々のがれきを除去する作業は「とても怖い。何が見つかるかわからないし、何でも起こりうる。」と語るが、とにかく地震と津波のあまりの破壊力に驚いた様子だ。「家が、何マイルにも渡って破壊されている。なんてひどいんだ。」と彼はつぶやく。
作業するクラークさんのいでたちは、グラウンドゼロでも身につけていた、ニューヨーク市消防局の黄色いオーバーオールズボンに消防コート、「WTC」と書かれた懐中電灯に、頭に被った黄色いヘルメットには「ハイチ消防局」の文字が読める。「困っている人を助けたい」という一心で、困難な作業でも希望を失わず頑張る、それがクラークさんの信条だ。
ミネソタ州の自宅で待つ妻のジョディさんは、夫は4月5日ごろ帰宅すると聞いていて、「夫は神に与えられた仕事をしていて、神が危険な救助任務から夫を守ってくれると信じている。」としている。
画像及び参考=http://newyork.cbslocal.com/category/video-on-demand-news/?autoStart=true&topVideoCatNo=default&clipId=5704258
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)