両親の離婚で母親と住んでいた11歳の少年。母親の過度の気遣いが彼を20ヶ月で18キロも太らせる結果となり、父親が息子を助けるために親権を奪う裁判となった。
11歳の少年はこの年齢の平均体重50キロを大きく上回って現在72キロ。両親の離婚後、母親と暮らしはじめて急激に体重が増えた息子を心配した父親が2008年に裁判所へ届け出た。母親が過度に投薬をしたために肥満化したということで、親権を父親にしたいということだった。
両親は2008年に離婚し、子供が母親と住み始めたころに最初の医療専門チームによる調査が始められた。子供は当時9歳ですでに平均より17キロ多い55キロあり、医師は肥満傾向にあると指摘。さらに育児精神科医も子供の状況を調査して「母親の超母性が子供を病む傾向にさせている」と指摘していた。
母親は息子を溺愛するあまり必要以上に病院へ連れて行き、彼女の納得できる診断をしてもらえるまで転々と医師のところを渡り歩くそうだ。
例えばある医師が喘息の薬をあげなくてもよいと判断したら、母親は喘息と認めてくれる医師にあたるまで病院を回って薬をもらうのだ。弁護士は少年が喘息ではないと述べており、また父親も子供が喘息の薬を使うことなくラグビーの試合を3試合もしたことがあると言っている。小児科でも子供の肺に問題はないと診断している。
また医師たちは「子供が咳止めの薬を水のように飲んでいる」と指摘しており、子供の薬物過剰摂取を警告していた。弁護士が母子共に1時間半ほど相談会を行ったが、子供は一回も咳をしなかったという。
今年3月3日の裁判では専門家たちが「父親と暮らすことを推薦」しているが、判事はこれが親権を変更させる決定要因とはならないとし、「1ヶ月に1キロ増える」子供の体重と薬物過剰投与に関しての母親の管理を時間をかけて改めさせる必要があると述べ、「子供にも父親か母親どちらと暮らしたいかを聞く必要がある」と判決を先延ばしにした。
子供は父親と暮らしてもいいが、母親を傷つけたくないという思いも強いそうだ。父親と母親の間でゆれる子供の気持ちも考慮してあげてもらいたい。離婚で大きく傷つくのはやはり子供なのだろう。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)