1月29日、プレトリア近郊にあるVaal Riverという川の横で新郎新婦が幸せへの門出を迎えていた。2人は川をバックにウェディングフォトを撮り、参列者たちは温かい目で2人を見守っていた。しかし、そこに現れた予期せぬ訪問者は静かに川を下り、幸せなカップルの後ろを流れて行った。
時刻は夕方5時、夕日をバックにカメラマンは河畔で新郎新婦の写真を撮っていた。105人の参列者は会場の受付エリアで2人の幸せな様子をほほえましく眺めていた。しかしその直後、ブライドメイドが叫びだした。参列者たちは岸へと走って行き、晴れの門出に相応しくないものを見てしまった。腐敗しかけた女性の遺体が流れてきたのだ。目撃者は「遺体はまるで人形のようだったが、あっという間に我々の前を流れて行った。」と語る。
遺体の身元は意外と早く判明した。マリー・グーセンさん(67)で、1月17日に自宅前の川沿いにある木の枝切りをしていた際に、足を滑らせて川に落ち、溺死した女性だった。事故現場の地面にはマリーさんが滑ったと思われる痕跡が残っていた。女性の夫はその日の午後4時に外出、2時間後に自宅に着いたとき、マリーさんの姿はどこにもなかった。その後レスキュー隊や警察のダイバーによる川の捜索が始まった。近隣の目撃証言で「事故現場から8キロ離れたところでマリーさんが流されていた」とあったため、急いで警察がカヌーやゴムボートなどで目撃場所へ到着したが遺体はそこから更に8キロ先へと流されていた。
結局マリーさんの遺体は、流れ流れて彼女の自宅から20キロ離れた華やかな結婚式会場まで行ってしまった。マリーさんは4年前、歯科手術の際にあごをドリルで傷め、そのため神経がやられて食事が普通にできなくなってしまったそうだ。2週間前にそこを治すために再手術して退院、ようやく普通に食事ができるようになったと喜んでいた矢先の事故で、マリーさんの息子は落胆していたという。
結婚式中に遺体が流れてきて不吉と取るか、結婚式のおかげで無事に遺体が発見されて吉と取るかは新郎新婦の将来に託されるのかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)