ある朝、トラックが大量の食品を投げ捨てていった。それを拾った住民が食べたところ、食中毒を起こし次々と病院へ運ばれていった。調べたところ、なんと食品は3年以上前のもの。容疑者を探して契約している会社を辿っていくと、巡りめぐってここの住民が浮かび上がった。
1月6日朝、ケープタウンのPholile Parkというタウンシップに白いトラックがやって来て、ジャムやビスケット、お菓子にジュースなど大量の食料を投げ捨てていった。住民は食料の山に駆け寄り、喜んで帰宅した。しかし、午後から子供たちをはじめ体調の悪い人が続出し、翌金曜日、そして土曜日と救急車が引っ切り無しに病人を搬送していく大事件となった。住民たちは、下痢や嘔吐、発疹といった食中毒の症状がほとんどだった。
彼らの持ち去った食料を調べたところ、賞味期限が2007年よりも前のものだった。
ある住民は「拾ったリンゴジュースを金曜日に飲んだところ、翌日午後4時過ぎから体調が悪くなった。激しい腹痛、下痢が襲ったが、幸運にも病院へ行かなくても治まった」そうだ。ケープタウン危機管理センターによると、食中毒は住民151名に発生しており、うち数名は自宅で療養したが100名近くは病院へ搬送されたと発表している。また、食料を調べていたところ『Simply Value Factory Food Shop』という会社のチラシを発見したそうだ。
市の保健省は、「食料は適切なごみ処理場へ廃棄するべき」として、食品のサンプルなどを検査した後、会社を告訴する予定だ。さて、ではどこの会社を告訴するべきなのか?
『Simply Value Factory Food Shop』のマネージャーによると、賞味期限切れの食品を廃棄する契約を『H Hearn Refuse Removal』と交わしていることが判明、さらに、『H Hearn Refuse Removal』のマネージャーは、廃棄に使用したトラックは『Kotze』という会社だと言っている。
さらに調べを進めたところ、このタウンシップに住んでいる『Kotze』の臨時日雇い労働者が、「自分の店が欲しいので捨てる予定の食品を自分の家に置いて欲しい」と運転手にお願いしたことが明るみに出た。
通常、南アフリカの日雇い労働者は道路にたむろしている。つまり、彼らは仕事が欲しいときに道端に立ち、その日だけ労働力を欲しい人がやって来るのを待っているのだ。『Kotze』は、通常の従業員が休暇を取っていたので、日雇い労働者を雇ったのだ。
『H Hearn Refuse Removal』のマネージャーによると、トラックは常にごみ処理場へと搬送していると思っていたが、タウンシップの住民が「『Simply Value Factory Food Shop』の賞味期限の切れた食品は、いつもここに投棄されている」と言ったことを知り、驚いている。
市は「誰かが責任を取らなければならない。貧困に喘いでいるタウンシップだからといって、期限切れの食品を棄てることは許されない。」と述べ、告訴する考えを強調した。
住民を食中毒にしたのは、奇しくも同じ住民だったようだ。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)