台湾新竹市で、インターネットで「涙が出るほどおいしい」という一箱99元(約280円)のパンを買った男性が、1200万元(約3400万円)を騙し取られるという詐欺事件が起きた。ネットユーザーからは「買うと涙が出るパン」などと揶揄する声が上がっている。
被害にあった男性の話では、昨年11月27日、「涙が出るほどおいしい」というキャッチフレーズで売り出されていた一箱99元のラスクをクレジットで購入した。するとショッピングサイトを名乗る者から電話があり、男性が操作を間違えて分割払いにしたため、銀行がお金を引き落とし続けるといい、男性に銀行へ行ってキャンセルするよう指示した。さらに銀行のマネージャーを名乗る者から電話があり、男性にATMで取り消し操作をするように教えたという。
しかし、すぐにまたこのマネージャーから操作を間違えたために口座が凍結してしまったが、既に金融監督管理委員会に連絡、処理済みだと知らせる電話があった。そしてしばらくすると金融監督管理委員会を名乗る者から連絡があり、マネーロンダリングの疑いがあるため、すべての預金を監督管理委員会に渡す必要があり、調査後問題がなければ返還するという。
また、詐欺グループは何度かに分けて預金を引き出せば、銀行や警察に気付かれない。もしも警察に知られると裁判沙汰になるなどと話したという。男性は11月29日に150万と200万を引き出し、金融監督管理委員会を名乗る男に手渡した。
男性はその後も5回に分けて預金を引き出し、計1220万円を騙し取られたが、12月末、相手側から連絡が来なくなるまで騙されていることに気が付かなかったという。地元メディアが男性が預金を引き出していた銀行に取材したところ、男性に対して詐欺に気をつけるよう忠告した行員もいたが、男性が家を買うと答えたためそれ以上は聞かなかったのだそうだ。
この男性、博士号も取得したエリートなのだが、学歴とは時に過信を生むものなのだろう。まさか自分が騙されるはずはないと思っている人ほど騙されやすいのだ。年が明け、ネット上にも新春セールの文字が並ぶ。寒さに震えながら開店を待つこともなく、人混みに揉まれる必要もないネットショッピングは実に快適だが、そこには大切な情報が漏れるリスクがあるということを忘れないでほしい。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)