ヨハネスブルグのゲイカップルが、来年の今頃には自分たちの子供を腕に抱いていることになる。新しい児童法によって7年前からの夢がようやくかなう。
12月22日、ヨハネスブルグ最高裁は、32歳の女性にゲイカップルの子供を産んでもらうことを認めた。さらにこの女性が出産後、子供に対する親権や義務を全て放棄することも言い渡された。これは2010年4月に発効された新しい児童法に則ったものだ。しかし、今回のような判決は、胎児が代理人に譲渡される前に下されていない場合は無効となる。
カップルは2003年に子供を作ろうと不妊治療等を行うクリニックへ行ったが、クリニックはゲイカップルであることに難色を示した。さらに待合室でも白い目で見られて辛い思いをしたそうだ。彼らはヨハネスブルグ北部にある高級住宅街に住んでおり、今回の裁判で勝ち取った喜びを「たっぷりの愛情と安定した家庭、最高の教育と、道徳を与える」と語り、未来の家族設計に夢を持っている。
カップルは、子供が生物学的に自分たちの遺伝子を持っていることが望ましいということで、男性の妹の卵子ともう1人の男性の精子とを受精させ、32歳の女性の子宮へ着床させて代理出産を行う予定だ。
この新児童法の条項には、ゲイカップルの代理母としての権限を最大限に守ってくれる一方、代理出産を斡旋する機関が閉鎖したり、ドナー斡旋機関へ変更したりしなければならなくなった。これは、赤ちゃんが産まれるまでの費用に関して条項が変更されたためだ。以前は斡旋会社を通じて、5万ランド(約61万円)までを報酬として代理母に払っていた。しかし、今後は代理母は報酬をもらうことができず、その代わりに妊娠中の検診に出産後の赤ちゃんの検診、薬、出産時費用、セラピーなど出産に関わる全ての費用を、依頼側が払うよう改編された。これでは代理出産する側は、「労多くして功少なし」というところだろう。
ちなみに今回代理出産する母親は、すでに5人の子供がいる。妊娠中はゲイカップルと共に暮らすことはないが、妊娠時の検診にカップルはついて行くそうだ。さらに、子供の脳が活性化するとして、モーツァルトの曲をiPodに入れて女性にできるだけ聞かせるようにもするとのこと。ゲイカップルは「三つ子ができるといい。そうすれば今回行った手続きをしなくてもすむから。」と、7年目に勝ち取った夢に喜びを隠せない様子だ。
妊娠したときはその誕生を心待ちにしているというのに、生まれてから子供を虐待や殺害してしまう親がいる。どんな環境のカップルであろうと、子供への責任と愛情は持ち続けてもらいたい。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)