パイロットから盗んだIDブックなどで本人になりすまし、銀行から日本円およそ231万円を引き出した男性に有罪判決が言い渡された。ちなみにもう1人の共犯者は、次の裁判では保釈されないと知ると逃亡した。
銀行の監視カメラにはパイロットの制服を着て、皮製の航空バッグを持った男性が映っている。しかし男性は単なる詐欺師、本物のパイロットの口座から大金をせしめていたのだ。この男性、アンソニー・スタウスは大胆不敵な態度で、署名が銀行のカードに記載されているものといくぶん違っているのは『オーストラリアからの長距離フライトの帰り』だからだと言って、銀行員を信用させていた。
スタウスは南アフリカ航空(SAA)の本物のパイロット2名の所有物を盗んでいた。その中には銀行のカード、小切手、IDブックなども入っていた。窃盗から6日間、スタウスとその共犯者は本物のパイロットになりすまし、銀行へ行って預金報告書を作成、PINコードを変更し、新規口座の作成をして、盗んだお金をそこへ入れていた。
盗んだ金額は2名のパイロットから137,000ランドと56,000ランド、総額193,000ランド(日本円約2,316,000円)にものぼっている。
スタウスは今年の1月2日、海外からの観光客を装ってある男性宅から銀行カードなどを盗み出して逮捕された。スタウスは男性宅で携帯電話を充電させてもらえないか聞き、男性がトイレに行っている隙に銀行カードと給料明細を盗み出した。翌日、銀行カードがないことに気づいた男性が銀行へ報告に行くと、なんとスタウスがその銀行の順番待ちの列の中にいた。スタウスの供述によると「その男性は銀行カードを返すよう要求し、口外してほしくなければ500ランド(約6,000円)払うよう言ってきた。」そうだ。しかし、男性が銀行員にこのことを告げたため銀行員が警察へ通報、スタウスは逮捕された。
スタウスはスリ、詐欺、窃盗など14件の罪で有罪、間もなく判決が言い渡される予定だ。
ちなみに彼の共犯者だが、逮捕後保釈されていた。しかし、裁判に出頭した際、次回の裁判に出頭したら保釈は許可されないだろうと聞いた共犯者は裁判所をこっそり抜け出し戻ってこなかった。警察では共犯者の行方を追っている。
さすがにパイロットになりすまして国外へ飛び立つことはないだろう。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)