救急車のサイレンが聞こえたら、車は徐行、横に寄せ、救急車に道をあけるのが社会のルールだ。赤信号でも救急車には突き進む権限がある。すべては尊い人命救助のためだからだ。
新北市消防局新店分隊は24日夜通報を受け、一名の心停止したばかりの老婦人を搬送していた。しかし、搬送途中で一台の軽自動車がわざと進路を塞ぎ、その上、窓から手を出して中指をつき立てた。また、走行中には突然ブレーキを踏むなどして、救護隊員の措置に影響を与えたという。搬送者は死亡、家族の憤りは言うまでもない。消防分隊はすでにこのドライバーを公務妨害として警察に通報している。
新店消防分隊の話では、24日夕方6時21分、86歳の老婦人が家の中で呼吸停止と心停止の状態だと通報を受け、自宅へ急行、老婦人にはまだ体温が残っていた。現場ですぐに心肺蘇生が行われ、6時41分新店の病院に向けて出発したという。
救急車を運転していた隊員によれば、救急車がサイレンを鳴らして大通りを走っていると赤信号になり、サイレンを聞いたドライバーたちは脇に移動を始めた。しかし、一台のスマートだけが道を譲らず、故意に救急車の進行方向へ進み道を塞いだという。救急車がクラクションを鳴らすと、スマートに乗ったドライバーは救急車に向けて中指をつき立てた。そんな光景を見ていられないと思った原付ドライバーが注意するも、耳をかさなかったという。
信号が変わると、スマートは救急車の前を走行。今度は急ブレーキをかけて妨害した。急ブレーキをかけざるを得なかった救急車、患者が危うく落ちてしまうところだったという。
6時46分、救急車が病院に到着すると、老婦人はすでに亡くなっていた。消防隊員によれば、病院までの道のりには約1分の遅れが生じたという。老婦人の家族は消防分隊を通して、この劣悪なドライバーを訴えることを明らかにしている。
心停止の通報から25分。きちんと病院に運ばれていたとしても助からなかったかもしれない。しかし、この劣悪非情なドライバーの行為は許されるものではあるまい。現代の救急車にはカメラが内蔵されており、今回の非情な行為もすべて記録されていた。車のナンバーからすぐに身元が分かり、インターネットにも流されたことで、社会から大バッシングを受けている。この事態を受けて、非情なドライバーは過ちを認めているようだが、警察に出頭したのは本人ではなく家族で、その家族の話ではドライバーはうつ病を患っているという。病気ゆえの非情な行為なのか、それとも本当にうつ病で苦しむ人をも利用する究極の非情人間なのか。真相はまだわかっていない。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)