アメリカ人の約60%が子供時代に虐待などの過酷な経験をしていることがCDC(米疾病予防センター)の調べで明らかになった。HealthDayニュースが16日伝えている。
有害な子供時代の体験(Adverse Childhood Experiences/ACE)には、言葉、身体的・性的虐待や、精神疾患、薬物・アルコール中毒、家庭内暴力、離婚・別居などの家族間の問題が含まれる。
CDCチームは、アーカンソー、ルイジアナ、ニューメキシコ、テネシー、ワシントン州に住む成人29,212人を対象に、Behavioral Risk Factor Surveillance System(BRFSS)の2009年ACEモジュールを用いて調査・分析を行った。
この結果、有効回答者の59.4%が、何らかのACEを1つでも経験しており、5つ以上は8.7%あったことが分かった。子供のころ、言葉による虐待を受けたことがあると答えた割合は25.9%、身体的虐待の経験があるとの回答は14.8%、性的虐待は12%以上にのぼった。
また、子供時代に家族の誰かが刑務所で服役したという回答は7.2%、家庭内暴力を見聞きした経験は16.3%、アルコール中毒や薬物依存者が家族の中にいる割合は約29%だった。さらに、家族の中にうつ病など精神疾患を抱える患者がいる、自殺および自殺未遂をした者がいるという回答は19.4%、26.6%は両親が別居、離婚している。
調査は自己申告のため、数字に含まれない体験者はまだまだ多いと考えられる。「こうしたトラウマチックな経験がすべて、後の人格形成に影響を及ぼすとは一概に言えないが、体験をした子供を見守っていくシステムは彼ら自身また、社会のために重要。ペアレンティングプログラムやカウンセリングプログラムなどの充実が必要である」と専門家は強調している。
(TechinsightJapan編集部 あきながまさこ)