“海賊版は違法“と分かっていても、そのあまりの安さについつい買ってしまったという人はいないだろうか。中国ではDVD作品一枚が僅か100円程度で売られている。また、放映中の映画が優酷や土豆などのサイトで見つかることもある。この横行する海賊版市場を整頓すべく、温家宝首相は「海賊版反対行動を全国展開し中国の国家イメージを改善する」と発表した。
温家宝首相は19日に開かれた会議の中で、中国が知的財産権を侵害していることについて、市場の正常な秩序を錯乱するだけでなく、競争力や新産業の創出を削弱し、中国のイメージに損害を与えるとして、当局は今年10月末から半年間“特別行動”を展開することにした。これには海賊版の取り締まり、ネット上の知的財産権の保護、すべての政府機関の正規版ソフト使用などが含まれるという。
中国は世界最大の海賊版市場である。これまでに多くの版権を持つ合法商品が限定輸入され、海賊版市場でやりたい放題だったようだ。また、中国のある地区では、海賊版が現地の主要産業というところすらある。
ビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)の統計によれば、昨年中国では79%のパソコンが海賊版ソフトを使用しており、2005年から2009年の間に使われた海賊版ソフトを合わせると、その価値は75.8億ドル(約615億円)に達するという。
中国当局はこれまでにも海賊版に対する取り締まりの強化を行ってきたが、中国社会にしっかりと根付いたその文化は、そうそう撲滅できるものではない。海賊版を購入する者の多くは“正規版の価格の高さ”を理由に挙げる。当局がなぜ海賊版が根付いたのかを考えない限り、業者とのいたちごっこは続くに違いない。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)