神経線維腫症という病気をご存知だろうか。中国広東省高洲市に住む一人の女性に、肩からおしりに垂れ下がる巨大な腫瘍があることが報じられた。広州日報の報道では“冬瓜のよう”と例えられたその腫瘍の重さは、なんと22.5kgに達するという。
この女性によれば、23年前から大きくなり始めた腫瘍は、おしりにかぶさるまでになり、その大きさと重さのため歩くこともままならない状態だった。座るだけでも眩暈がするため、長い間寝たきりの生活を続けてきたという。
しかし、さすがにそんな生活に耐え切れなくなった女性は、高洲市にある第二人民病院に助けを求めた。こうして、ようやく23年背負ってきた腫瘍が切除されることになったのである。
中国では、これまでにもおしりに45kgの腫瘍ができた女性や、顔に23kgの腫瘍ができた男性などの事例が報じられている。これらは神経線維腫症と呼ばれる病気で、神経器官の遺伝性疾患により神経組織を異常に成長させる症状がみられる。また、神経線維腫症にはレックリングハウゼン病として知られている末梢性のI型と中枢性のII型の2つのタイプがあり、I型は3000人に1人、II型は4万人に1人の割合で発症すると言われている。
親からの遺伝、あるいは遺伝子の突然変異が原因とされている神経線維腫症。遺伝性疾患としては患者数が多い病気とされている。しかし現在、病気の進行を止めたり、治す治療法は見つかっておらず、腫瘍を切除しても、問題の遺伝子である染色体が正常に戻らない限り、再発する可能性があるという。
腫瘍自体は良性であるため、適切に処置を行っていれば直接命にかかわるような病気ではない。患者の多くは病気の痛みよりも、体のあちこちにできる腫瘍に向けられる奇異の目による心の痛みを訴えている。一日も早く、効果的な治療法が見つかるとともに、世間の認知が広まることを願う。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)