桃園国際空港で先月15日、仰天の事件が起きていたことが分かった。旅客200人あまりを乗せたシンガポール航空の旅客機が、離陸前の滑走路で危うく大型貨物機に衝突するところだったという。引導指令ミスにより滑走路に進入し、旅客機の前を横切った貨物機。旅客機の離陸があと11秒遅ければ大事故になっていた。幸い、すんでのところで管制官が気付き、貨物機にすぐに滑走路を離れるよう指示を出したため、大惨事は免れた。
民航局の調査によれば、管制官は貨物機に05滑走路の外で待つように「Hold short of runway 05」と指示したが、貨物機の機長は「Across runway 05」(05滑走路を越える)と復唱。しかし管制官はその間違いに気付かず、修正しなかった。その後、旅客機を引導していた管制塔の管制官が、滑走路にあるべきでない貨物機の存在に気付き、慌てて貨物機を滑走路から離れさせるよう塔の下の管制官に要求した。
民航局は、当日勤務していた管制官が、訓練を終了したばかりで経験不足だったとしており、この管制官は自責の念から別の職務への異動を希望しているという。行政院飛航安全委員会は、今回の事件が同会成立後13年来、初めての「滑走路進入」事件だとしている。旅客機と貨物機は、最も接近した時で、水平距離約182メートル、垂直距離約91メートル。これは、国際民航組織の分類によればC級の滑走路進入となる。しかし、最も深刻なA級ではないため、調査は民航局に任される。
世界との窓口である桃園国際空港は台湾の顔でもある。その桃園空港では、ボーディング・ブリッジが断裂したり、トイレが詰まって汚水が溢れたり、関税で没収された持込禁止の肉類などが無造作に捨てられ、ホームレスの食になっていたなど、最近面目丸潰れのニュースが続いている。緊急事態だったならば、経験不足も指摘できようが、今回は明らかに訓練不足である。民航局は事故が起きなかったことをコレ幸いとして済ませず、しっかりと原因を突き止め、改善に努めるべきだろう。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)