台北県に住む一家で、4ヶ月の赤ちゃんがネズミに腕を十数か所咬まれるという悲劇が起きた。発見された時、赤ちゃんの枕は血まみれだったという。運ばれた病院の話では、命に別状はないが、傷は靭帯にまで及んでいるようだ。傷口は形状が不規則なため縫合することができず、快復状況を観察することになる。

警察の調べによると、この一家は軽度の知的障害がある母親と鉄工業を職とする父親、4人の子どもの6人家族。4人の子どものうち上の5歳と3歳の2人も知的障害があるため、教養院（障害がある人のための施設）に通っており、夜に帰宅する。赤ちゃんがネズミに咬まれた時、寝室では2歳の子どもも寝ていたが、幸いこの子は被害をまぬがれた。

この痛ましい悲劇は、母親の留守中に起きた。家にはほとんど帰らず、帰っても金をせびるだけの父親のせいで、一家は政府からの僅かな補助に頼って生活しているという。この日、母親は節約のため、幼子2人を残して、山へ水を汲みに行った。家に戻ると、ベビーベッドの上に数匹のネズミがおり、血だらけの腕で声が枯れるまで泣いていた赤ちゃんを発見。慌てて通報した。

幼い子どもを残して出掛けるのは非常に危険な行為である。いつ、何が起こるか分からないし、子どもが何をするかも分からない。社会局の“児童及び少年福利法”によれば、監護人は6歳以下の児童を1人にしてはならず、これに反すると教育指導、或いは罰金が科せられる。

しかし、夫をあてにできないこの母親。小さな子連れで何ができよう。ネズミが出る環境を作らないことも大切だが、本当に助けを必要としているところに助けが届かない制度にも問題があるのではないだろうか。知らない者が悪いと言われるような補助体制や、書面上だけの機械的な判断では、本当に助けを必要としている者は救われない。
（TechinsightJapan編集部 片倉愛）