台湾桃園市に住む一人の男性が、愛国心のあまり“台湾”を加えた名前に改名した。2文字、3文字の名前が一般的な台湾で7文字の名前を得たこの男性。「世界各地を周り、台湾の名を広げたい」と夢を語った。
この男性は「黄 宏成」さん、42歳。4年前から三輪車で台湾全土を周り、319全ての鄉鎮(市町村)の土に“感謝のキス”をしたことで、「台湾阿成」のあだ名がついた。これまで、本や講演を通して台湾への想いを語ってきた黄さんだったが、“名前に「台湾阿成」を加えればもっと夢に近づける!”と思い立ち改名特別請求書を申請したという。
黄さんが申請した名前は「黄 宏成台湾阿成」。
これが本名だと言われれば、確かにかなり印象的だ。
日本では、珍奇・難読と判断される名前を改名することはできるが、珍奇な名前に改名するのは難しいだろう。
もちろん台湾でも、改名し放題というわけではない。しかし、この珍しい申請を受けた市役所は、“法的に問題がない”ことを確認し、受理した。
日本に比べ、名字の種類が少ない台湾では、自分と同姓同名の人に出会う確率も高いようだ。学校や職場などで名前がかぶり、紛らわしいので改名する人もいるという。
“名前は自分の一部”と考えてきた記者としては、「好きだから」「紛らわしいから」などの理由で名前が変えられてしまうことに疑問を感じる。しかし、いくら好きだからといって、国名を名前に加えようという人はそうそういない。
黄さんはこう語る。
「これは私にとって小さな一歩に過ぎない。しかし、台湾を愛する人は多い。たくさんの人に“響く”ことを信じている。」
黄さんが本当に変えたかったのは名前ではなく、愛する母国、台湾なのだ。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)