9月30日、タイ南部のパンガー県クラブリー郡の漁民が、マッコウクジラの腸内に発生する結石=龍涎香(りゅうぜんこう)が浜辺に流れ着いているのを発見した。その重さ、300kg以上。発見した漁民は現在、1キロ当たり70,000バーツ(日本円:約20万円)で買い取りたいというオファーを受けているという。
龍涎香は、マッコウクジラの腸内にて生成される結石で、マッコウクジラのえさであるイカの口ばしから作られた病的生産物ではないかとされている。マッコウクジラから排泄された龍涎香は、水よりも比重が軽いため、海洋を浮遊し、ごくまれに海岸に打ち上げられる。そして、龍涎香は主に香料として使用される。
昔、龍涎香は、海岸に打ち上げられたそれを偶然に入手することしか出来なかったため、非常に貴重な香料として珍重されてきた。その後、商業捕鯨が行われている間は、クジラ解体時に龍涎香を入手することができたため、高価ではあっても一定の供給がなされていた。しかし、商業捕鯨が禁止されている現在は、昔と同様、偶然に入手するしか手立てがなく、そのため希少で高価なものとなっている。
今回、そんな龍涎香を偶然に発見した幸運な人は、チャイラット・トリーさん(52)である。
30日、トリーさんは、プラ島の浜辺にて龍涎香を発見した。ただし、そのときは変わった石だなというほどの認識で家に持ち帰ってみたのだという。しかし、家にて調べてみて驚いた。“変わった石”は、非常に高価なものであることが判明したのだ。そこで、すぐに発見現場に戻り、残りの龍涎香をかき集めたのであった。
発見された龍涎香の重さは300kg以上にもなったという。
現在、トリーさんは数々の龍涎香買い取りのオファーを受けている。マレーシアからは、キロ当たり70,000バーツで買い取りたいというオファーを受けているのだ。しかし、トリーさんは現段階では、龍涎香を売る決心がついていない。
300kgもの龍涎香を排出するクジラは、体長20m、体重15t以上はあると推定されている。それだけのクジラが生息していることは、海の環境が良好であることを示し、喜ばしい限りであると地域自治体は述べている。そして無論、海からの高価な贈り物を貰ったトリーさんも喜ばしい限りであろう。
(TechinsightJapan編集部 若曽根了太)