24日、タイ南部パットルン県にて、森の中にて生活を営むサーガイ族による結婚式が開かれた。サーガイ族の結婚式が公表されるのは珍しく、そのため500人以上の観光客が訪れたという。
サーガイ族とはマレー半島にいるンゴ族の一派で、普段は森の中にて生活を営んでいる。肌はタイ人よりも黒く、髪の毛は縮れている。タイにおいては、パットルン県とトラン県、サドゥーン県の3県にしか住んでいない。
そんなサーガイ族のなかで、とあるカップルが今回結婚をすることになった。そこで、パットルン県が結婚式のスポンサーとなって大々的に公表することにしたのだ。なぜならば、サーガイ族は森の中にて生活しているため、彼らの生活様式や文化は、これまでベールに包まれていた。よって、少しでも多くの人々にサーガイ族のことを知ってもらおうと、県は考えたのである。
今回の結婚式ではマスコミをはじめ、500人以上の見物客が訪れたという。
さて、今回めでたく結婚をしたのは、県内のパーボーン郡出身のアイタオヤーオ(新郎)さんと、同県タモート郡出身のビンラー(新婦)さん。
アイタオヤーオさんが、ビンラーさんの家の付近の森まで食料を探しに行った際に出会ったのが、2人のなれ初めである。それから2人は同棲生活を開始し、このたびめでたくゴールインとなったのである。
結婚式では、アイタオヤーオさんが自身の実家から、親戚や友人などを引き連れて行列をなし、ビンラーさんの実家へと向かった。
アイタオヤーオさんは、ビンラーさんの家族に対し、ビンラーさんと結婚したい旨を告げ、結納金を手渡したのである。結納金といってもそれはお金ではなく、2枚の赤い布と果物である。この民族は赤色が好きなのだ。
そして、新婦側から結婚の許しを無事に得ると、今度は結婚式会場となっているダムまで向かった。スポンサーとなっている郡が用意した車30台が行列をなして、まるでパレードのような状態でダムへ向かったという。
そして、会場において結婚式が行われ、また結婚の届けが県の役員に受理されると、2人は森の中へと戻り、新婚生活が始まったのである。
今回の結婚式は、県・郡のスポンサーがついて大々的に行われたため、本来のサーガイ族の結婚式のあり方とは様相が異なるかもしれない。しかし、民族が減少しつつある現状において、こうした一民族の文化のあり方を示そうと乗り出した自治体の試みは興味深いものがある。
(TechinsightJapan編集部 若曽根了太)