警察の権力を利用して数々の悪事を働いてきた悪徳警察官が、地域住民の協力によって逮捕された。

タイではしばしば、警察官の自身の権力を利用した悪事が露呈されることがある。今回のケースはバンコクで発生した。

先日逮捕された警察官はこれまで、管轄の地域の住民の家に現れては、なにかと言いがかりをつけて悪事を働いてきた。

たとえば、以前この警察官は、ミャンマー人の女性（21）のもとへやってきて、不法入国ではないかと言いがかりをつけた。それに対し女性は、不法ではないことを証明する書類を見せたが、警察官はそれを端から信じようとはせず、不法であると決め付けた。そして、女性から賄賂として金品を奪っていったのである。

また、そうした警察の横暴な態度を見かねた地域住民は、警察官に詰め寄ろうとするも、それに対し警察官は暴力をふるい、なおかつ金品を要求したりした。自分は警察官であり、それに逆らうとは何事だという一貫した振る舞いをみせていたという。

そこで地域住民は、こうした横暴で悪徳な警察官をなんとかすべく話し合い、みなで協力してこれを捕まえて警察署に突き出すことを決定した。

そして先日深夜3時頃、先のミャンマー人の女性のもとへ、仲間2人（一般人）を連れてやってきた悪徳警察官を地域住民は取り押さえたのである。悪徳警察官は、女性の体と金を目的として現れたのだという。

地域住民はこの悪徳警察官とその仲間を警察署へ連れて行き、これまでの悪事を話した。

それを受けて警察は、この悪徳警察官とその仲間を逮捕するとともに、今後の取調べに対して何者の介入もいれないようにするという。

というのも、この悪徳警察官は実は有力者の親戚筋にあたる人物なのだという。警察は、警察のイメージの失墜を避けるべく、この悪徳警察官に対する正当な取調べを行う方針なのである。

タイでは、権力を利用した警察官の横暴な振る舞いが目に付くことが多い。最近は減っているとは言うものの、賄賂の存在もなくなってはいない。そうした裏事情があって、社会は成り立っているといってしまえばそれまでだが、しかし、全うに生きる権力なき弱い民衆は大きな被害を受ける面からすると、心情として今回の悪徳警察官の逮捕は小気味よい。

ちなみにこの悪徳警察官は、以前の管轄地域においてもなにかと悪事を働いていた模様であり、今後その件に関しても追求されるという。
（TechinsightJapan編集部　若曽根了太）