最近、タイでは深刻な天候不順が続き、落雷や暴風、大雨による被害報告が相次いでいる。タイの寺や遺跡も、そうした天候不順によって被害を受けている。
今月13日には、タイ北部のプレー県ローンクワーン郡にて、電柱に雷が落ち、付近が火事になるという事態が発生した。
付近の住民によると、13日の朝、近隣では大雨が降ったそうなのだが、その直前、雷が落ちる大きな音がしたという。その雷は地域内の電柱に落ちたのである。それにより、電気はショートし、付近に火の手が上がったのだ。
そして、その火事の被害を最も受けてしまったのは、シートーンムーン寺である。この寺の本堂は大きな損害を受け、安置されていた仏像も悲惨な状態になってしまった。
また、今月8日には、シーアユタヤー県のターサーイ寺が、強い暴風を受けて大被害を受けたケースもある。この寺に安置されていた“ルアンポーカーオ”と呼ばれる由緒ある仏像や、その周りの9体の仏像、およびチェディと呼ばれる仏塔4棟が吹き飛ばされたのだ。
この寺はアユタヤー時代(1350~1767年)に建造された歴史の深い寺である。しかし現在住職はなく、遺跡として残されている。そのため、ところどころ痛んでいた箇所が放置された状態にあったとみられ、暴風に耐えられなかったのではないかとみられている。
最近、相次いで起こる天候不順は、こうした文化的施設に被害を及ぼすこともあるのだ。歴史ある建造物を守るためにも、水害や暴風に対する何らかの対処が必要になっているのかもしれない。
ちなみに、シーアユタヤー県のターサーイ寺では、吹き飛ばされた仏像を高値で売るために、寺へ捜し求めにくる罰当たりな者もいるらしく、警戒を強めているという。
(TechinsightJapan編集部 若曽根了太)