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タイ中央部のペッチャブリー県では、森から出て、道路に現れる象が増えており、注意が叫ばれている。なぜ象は道路に出現するのだろうか。
象が出現する道路近くの森には、約60頭の象がいるという。そこから最近、多くの象が道路に現れるのだが、それはえさを求めてである。もちろん、えさは道路にあるわけではない。象は、道路を通行する人々から、えさを与えられるのを待っているのである。
というのも、この付近は多くの観光客が訪れる。そして、これまで一部の観光客が、森の中にいる象に果物やご飯などのえさを与えた。それはもちろん、象に対する好意からである。
しかし、そうした行為が繰り返されるようになると、象は文字通り味を占めてしまい、えさのみを欲しがるようになってしまった。そして、今回のように道路で“えさ待ち”をするようになったのだ。
地元紙によると、これは象の性格の変化の一種だという。現在、この森の象は観光客からのえさだけを求めるようになってしまい、本来すべき森でのえさ探しをしなくなりつつあるというのだ。
こうなると、象にとってはもちろんのこと、人間にとっても危険が付きまとう。そのため地元では、象にえさを与えないようにすること、および運転に十分な注意を払うことが呼びかけられているのである。
これは、人間が好意の上で行ったえさを与えるという行為が、象の生活様式を変えてしまったケースといえよう。一度、おいしいえさが簡単に手に入ることに味を占めてしまった象が、これまでのような“生き方”に戻るのに、どれくらいの期間を有するのであろうか。
(TechinsightJapan編集部 若曽根了太)