タイ中央部シーアユタヤー県に、草をまったく食べない牛がいる。その牛は、人間が食べるごはんやジュース類のみを口にするというのだが。
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この牛の母牛は、子牛を産み落としてすぐに死んでしまった。
そこで牛の飼い主は、知り合いの僧侶に、親がいなくなってしまった子牛を預け、面倒を見てもらうことにした。
その後、子牛は僧侶のもとですくすくと育ち、僧侶を相当に慕うようになる。
たとえば、僧侶は毎朝、托鉢のために地域を歩いて回るのだが、出発時において、牛は必ず門前にて僧侶を待ち構えているという。そして、約2キロの道筋を僧侶に従って歩くのだ。
また、托鉢を終えて寺に戻ると僧侶は食事をとるが、そのときも無論、牛は僧侶の近くから離れようとはしない。僧侶とともに食事をとるのだ。その食事は、僧侶が托鉢で得たごはんの残り物である。飲み物は、コーラやファンタ、オレンジジュースなどといったジュースの類だ。
托鉢以外の用事において僧侶が出かけるときも、牛はそれに従う。
つまり、僧侶と牛はいつも一緒というわけだ。
こうした僧侶と牛の関係を見て地域住民たちは、牛はまるで僧侶の子供のようだと語り、現在では、僧侶への食事だけでなく、牛のための食事も用意して待つ者もいるという。
今この牛は、地域内において人気者だ。
僧侶は生まれて間もない子牛に約2ヶ月間、ミルクを与え続けてきたという。そのため、子牛は僧侶を親と思っているのではないかという者もいる。その点については不明だが、牛が草をまったく食べずに、人間の食事や飲み物を好んで食すというのは、めずらしい。ただ、体調に問題が出ないのか、少し心配でもある。
(TechinsightJapan編集部 若曽根了太)