死亡が確認されたはずの女性が、突如蘇生し人々を驚かせた。人々の間で、この女性が蘇生できた理由がまことしやかに語られている。
先日、タイ東北部ガラシン県に住むある女性(40)が病院にて死亡した。この女性は10年ほど糖尿病を患っており、それが原因となって死亡したのである。
女性の最期を看取った親族は、悲しみにくれながらも、葬式の手続きをとり始めた。
ところが、死後30分以上が経過したとき、その女性は突如息を吹き返した。親族は、喜びはもちろんのことながら、驚きを隠せなかったという。
現在この女性は退院し、これまでどおりの生活を営んでいる。
ではなぜ、この女性は蘇生できたのだろうか。
そのことについて女性の父親は、自分が僧侶として徳を積み、その徳を娘に送ることができたからだと語る。
タイ人の人生において大きな価値の一つは、いかに多くの徳を積むかということである。お寺に参拝に行ったり、鳥や魚を逃がしたりして、できるだけ多くの徳を積む。徳の量が多ければ多いほど、来世において恵まれた人生を歩むことができると信じている。
そして、このような積徳において、最もそれを得ることができると信じられているのが、出家である。仏門に入って修行をすれば、多くの徳を積むことができるのである。
そのため、タイの男性は一生に一度は出家をする。
そして出家は、自分自身の徳を積むことにつながるとともに、それを親族に転送することができる。特にそれは、出家できない女性に転送できると考えられており、そのためタイでは、「徳を母親に送るために出家する」といった声をよく耳にすることができるのだ。
このようなタイ人の考え方を背景として、今回の父親のコメントがある。父親は僧侶になって仏門に入り、日々修行を積んでいる。そのため、多くの徳が家族に転送されており、それによって娘も息を吹き返したというのである。
父親のこうした語りは、一度死を体験した娘はもちろんのこと、村人たちにも受け入れられている。しかし、「一時的にショック状態になって心肺停止になり、そのあと息を吹き返すというケースはそれなりにある」とした、この女性担当医師のコメントも見逃せない。
いずれにせよ、徳を積むこと、そしてそれを家族に転送するという価値観は美しい。
(TechinsightJapan編集部 若曽根了太)