アメリカのギャングカルチャーの一つに、凶暴な大型犬を連れ歩き、ドッグファイトをさせるというのがある。それを真似する南アフリカの若者は、ドッグファイトの対象に他の動物を選んだ。
ケープタウンの名所のひとつ「喜望峰」。ここへ行くまでの道のりに「オーシャンビュー」と呼ばれる、その名のとおり小高い山々から大西洋を一望できる街がある。今回のドッグファイトはここで起こった。選ばれた不幸な動物は、バブーンというやや凶暴性のある猿。今回は20歳になるバブーン「エリック」が被害者。闘う犬は闘犬用のピットブルテリアとスタフォードシャーテリア。エリックは2頭を相手に闘ったものの、ひどく負傷してしまった。
エリックは近くの獣医の下へ運ばれ、治療を受けた。片足に筋肉を損傷するほどの負傷を負ってはいるが、命に別状はなく大丈夫だということだ。一方、飼い主たちは国立公園条例に違反したとして逮捕、それぞれの飼い犬は保護されている。2頭は行動判定をされ、安楽死させるかどうか決定されるらしい。
ブルテリアのような闘犬は闘っているうちに他の犬を攻撃する傾向があり、一度噛み付いたら離さないという獰猛振り。また、筋肉がたくましく、多くの運動が必要な犬種。それなのに、大抵は狭い庭で飼っているため、犬のストレスは溜まっているそうだ。
このエリアではドッグファイティングは流行っており、こういった状況は過去にも何度もあったとのこと。近隣に住む人は、「この付近にはピットブルテリアがたくさんいる。自分の子供がこのような凶暴犬に襲われることを考えると恐ろしい。」とコメント。また、飼い主が仕事で家を開けている間、凶暴な犬が敷地を出てペットを襲うということもしばしばあった。
このエリアでは多くの人がペットを飼っており、凶暴犬は家族を守る大事な番犬として大切に扱われている。今回の事件は飼い主の教育が問題だろう。
一方、ある住民は「今回の被害者がバブーンだったから、マスコミに取り上げられて問題になった。もしこれがエリックでなければ、誰の注意も引くことなく、ドッグファイティングは続いていただろう。」とエリックに感謝。
犬は飼い主に忠実。犬を責めるのではなく、飼い主を厳重に懲らしめるべきだろう。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)