南アフリカのクワズル・ナタル州にあるナタル動物園・ライオンパーク(the Natal Zoological Gardens and Lion Park)は、ライオンの生息している敷地内を自家用車で走り、ライオンを見るというのが売り。しかし、そのライオンたちが車に集まりバンパーなどを噛みだした。以前にも同じことが起こっているこのパーク。実はオーナーに問題があったようだ。
ある家族が乗った車は、まずゲート入り口に常駐しているガードマン2人にゲートを開いてもらい、ライオンの敷地内へと好奇心露わに入っていった。しかし、事態は一変。10~15頭ものライオンが車の周りに集まり、車のバンパーやドアハンドルを噛み始めた。助けを求めてクラクションを鳴らすものの、ガードマンはなんの手立ても打たず、ただ立っているだけ。そうしているうちにライオンは車の後ろにも集まってきた。
家族は「ライオンはとても攻撃的だった」とその時の恐怖を語っている。一方、パークのオーナーは「ライオンは若くて、本気で襲っているわけではない。敷地内に入る人には、ライオンが登ってくるので車を停めてはいけませんといつも言っています。」と反論。しかし家族は「そんなことは一言も言われていない、チケットの後ろに『車内から出ないこと、窓を開けないこと』としか書かれていない」と、さらに応酬。園内にはそういった警告のサインも見られないという。しかも、2週間前にもライオンに囲まれた車を目撃したという人までいる。家族の車は1万ランド(日本円約12万円)の修理費がかかるが、修理費に関してもどちらが負担するかでもめている。
オーナーは「人騒がせな話だ」と謝罪の意はないようだ。しかし、このオーナーこそが実は人騒がせの張本人。
実はオーナーは、園内の動物の保護状況が悪いということで現在裁判中の身。テレビに出演するチンパンジーには個室をあてがい大事に育て、それ以外のチンパンジーには水も与えずやせ衰えている。67頭のライオンは使い古された船のコンテナのような湿った場所に適当に入れられている。アジア象は16時間も鎖でつながれ、水もなく干草だけ与えられている。この状態は2008年の11月に調査が入って判明したもの。オーナーは「以前よりも改善している。」と主張している。
オーナーの手腕が経営だけでなく、動物たちや、その結果として客への安全にまで影響を与えていることを自覚すべきだろう。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)