現在、南アフリカのあちこちでストライキが起こっている。医師のストライキにより死者もすでに出ている。また刑務所職員によりストも同様で、付近の住民は凶悪犯の脱獄におびえる日々だという。さらには、違法と言われている救急隊員までもがストライキに踏み込む事態に発展。この危機的状況に南アフリカ政府はどう対処するのだろうか。
今年に入ってから、学校の教師、バスやタクシードライバー、ガソリン運搬車、テレビ局従業員などが続々とストライキを行なっている。ここまでは普通の生活を送っている分には危機迫る状況ではない。
しかし、最近では医師、消防隊員など救急サービスの労働者までもがストライキを行なっている。労働に等価な賃金をもらっていないとして賃金値上げの要求を行なっているのだ。
4月末には、プレトリアで妊婦が病院に運ばれたものの、医師のストライキ中のため死亡するという事件も起こっている。
5月半ばには刑務所員によるストライキが起こり、一時は凶悪犯が逃げ出すかという不安もあったが、一進一退のままだ。
また救急サービスでのストライキは違法なのだが、命をかけて働いている消防隊員も低賃金に我慢がならなかったようだ。ヨハネスブルグで先週の火曜日から一部の消防隊員のストライキが始まった。今回のストライキ中を狙ったものなのかはわからないが、消防署の一角で火災が起こるという出来事もあった。
不景気なのに賃金をアップしなければならない企業側と、不景気なので賃金をアップして欲しい労働者側とが合意できる日は遠いだろう。
また、世界中が参加するワールドカップの開催にも陰りを見せている。
日曜日に南アフリカで最初のワールドカップスタジアムが完成した。場所は海沿いにあるポート・エリザベスで「ネルソン・マンデラ・ベイ・スタジアム」と呼ばれる。スタジアムは4万8千人収容、ワールドカップ開催中クウォーターファイナルを含む8試合が行なわれる。
いよいよかと盛り上がる一方で、やはり賃金問題が発生する。
ヨハネスブルグのスタジアム建築に携わっている労働者が15%の賃金アップを要求しているが、7%アップしか応じないらしい。今後の対応によってはストライキに入る可能性が高いという。スタジアムのストライキは2007年11月にもダーバンで起こっている。これ以上の遅れはスタジアムの完成に大きく影響を及ぼす。
無事スタジアムが完成し、開催期間中平穏無事でいられるかどうか・・・こればかりはまったく予測できない。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)