先週の金曜日にヨハネスブルグの教会前で「悪臭の液体」が撒き散らされ、教会前で寝泊りをしていたジンバブエ難民たちが被害を被った。ジンバブエ難民は以前から退去するように言われており、今回も業を煮やした人たちが行なった悪質な嫌がらせと見られている。
金曜日の午後8時半、ヨハネスブルグのセントラル・メソジスト教会の前を「下水のような悪臭のする液体」を撒いたトラックがあった。
同教会には、2,563人ものジンバブエ難民が寝泊りをしており、教会内部に入りきらない人たちが教会前の歩道で寝ていた。目撃者によると、5人の男性がトラックに乗っており、異臭を放つ液体を撒いていたそうだ。水を撒いている男性たちは、ジンバブエ難民を「ゴミ」「価値なし」といった目で見ていたそうだ。
ジンバブエ難民の人々は、洋服が濡れたばかりでなく、食糧、寝床もびしょぬれ、健康に害がないものかどうかもわからず、不安な日々を過ごしている。
翌土曜日にヨハネスブルグ市からの保健調査員が周辺の調査、水の分析、人々のインタビューなどを行なった。
その後の調査で、悪臭の液体を撒いたのは「Red ants」というセキュリティ会社と判明した。しかし、撒かれた水の正体はまだわかっていない。
ジンバブエ難民が教会周辺にたむろしていることで、周りの店や会社は迷惑を被っていたようだ。牧師は時には素晴しい行為だと賛美され、時には批判された。ひどいときには殺すと脅されたこともあったそうだ。今年に入ってからも教会の横にある裁判所から、難民の退去と、教会前に設置された難民用のトイレの撤去を求められた。3月になって、州政府はヨハネスブルグ市内と郊外に6箇所の建物を難民用と指定した。教会前のジンバブエ難民たちは6月半ばには立ち退くよう言われている。
前大統領ムベキの妹がジンバブエ大統領の1人ムガベの妻であること、アパルトヘイト時代に助けてもらったことなどから、南アフリカ政府はこれまで多くのジンバブエ難民を受け入れてきたが、その後の対策がなされていないのは失策ではないだろうか。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)