アドリアナさんが両手を上げたまま、後ろ向きに倒れ込む様子が映し出されており、その後、リフト内には白い煙と埃が立ち込めた。
事故直後、アドリアナさんは意識があったが、その後、意識不明に陥った。そして、搬送先の病院で脚と腫れた頭部の緊急手術を受けたものの、13日に亡くなった。また男性2人は骨折し、すでに退院しているが、1人は歩行ができなくなってしまった。
実は事故を起こしたエレベーターは、コンドミニアムが建設されてから60年間、一度も交換されず、義務であるメンテナンスのみが行われていただけだった。
メンテナンスを担当していた「アトラス・シンドラー社」は、事故を受けて「当局の捜査には協力している。これまでにも同コンドミニアムに設備の最新化を複数回勧めていた」とコメントした。
一方、管理会社は「メンテナンスは適切で、我々に直接の責任はない」と述べており、サンパウロ州公安局は現在、不審死および傷害事件として捜査を進めている。
日本では、エレベーターの耐用年数は約20年~25年と言われており、60年というのは耐用年数を大幅に超えているが、今回の事故を受け、エレベーターの専門家ロドリゴ・サー氏(Rodrigo Sá)は次のように説明した。
「エレベーターの落下事故は稀ですが、月に一度の設備メンテナンスが必要です。一夜にして故障することはありませんが、錆びたり、腐食したりしないよう細心の注意が求められるのです。また、住居用ビルのスチールケーブルは通常20年持ちますが、耐用年数を超えた場合は機器の技術的な更新や、より頑丈な部品への交換が必要です。」
なお、アドリアナさんとジルデリオさんは10代の頃に出会い、6年前に27年ぶりに再会して結婚したそうで、2人は事故直前に休暇から戻ったばかりだった。最愛の人を失ったジルデリオさんは、進まない捜査に苛立ちを隠せない様子で、「私が唯一、望むことは正義なのです」と語った。
ちなみにエレベーター事故と言えば昨年9月、インドネシアの高級リゾートホテルの屋外にある斜行エレベーターが突然落下して渓谷に転落し、ホテルの従業員5人が死亡した。
画像は『ND Mais 「VÍDEO: Mulher morre após queda de elevador em SP e imagem impressiona」(Foto: Reprodução/Google Maps)(Foto: Reprodução/Fala Brasil)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)