医学ジャーナル『Journal of Medical Case Reports』が今月6日、タンザニアで誕生した非常に稀な先天性奇形「シレノメリア」の赤ちゃんのケースを公開した。これは下肢が癒着してまるで人魚のように見えることから「人魚症候群」とも呼ばれており、赤ちゃんは口唇に裂け目が現れる「口唇裂」の症状もあったという。
シレノメリア(人魚症候群)の赤ちゃんを産んだのは、タンザニア在住のアフリカ系黒人女性(22歳)で、妊娠37週で帝王切開による分娩だった。赤ちゃんの体重は2100グラムで、口唇裂であったうえ腕は1本しかなかったという。また肛門がなく、外性器の異常により性別の判定が困難で、生まれて5分後に息を引き取った。
亡くなった赤ちゃんの両親は近親婚ではなく、家族の中にシレノメリアの患者はいなかった。また母親はこれが初めての出産で、妊娠中には健診を2回受診。血圧、血糖値とも正常だったが、超音波検査は受けていなかった。基礎疾患はなく、梅毒やHIVの感染はなかったものの、定期的な母子感染症の検査は受けず、重要な妊娠初期に葉酸の補給もしなかった。
さらに母親は、タバコや酒、薬物はやらず、殺虫剤への曝露もなかったが、田舎で農婦として働き定期的に肥料を使用していたことから、医師は「胎児が有害な毒素に晒された可能性もある」と指摘した。
なお2021年4月に公開された『Journal of Medical Case Reports』によると、シレノメリアは6万~7万人の妊娠に1人の割合で発生し、