米インディアナ州の動物園で今年9月末、イヌ科のリカオンの赤ちゃんが誕生した。ところが赤ちゃんは初日から育児放棄され、同園のスタッフは翌日、子育て中のゴールデンレトリバーを乳母に迎えてケアにあたったという。すくすくと育った3匹のリカオンについて、米ニュースメディア『USA TODAY』などが伝えた。
米インディアナ州サウスベンドのポタワトミ動物園で9月28日、リカオンの雌“ブルー(Bleu)”と雄“モーリス(Maurice)”の間に8匹の赤ちゃんが誕生した。
同園には、このペアのほかにブルーのきょうだいで雌の“コルビー(Colby)”が暮らしており、スタッフは3匹が共同で子育てすることを期待していた。
野生のリカオンは通常、社会性の強い大きな群れ(パック)を作り、子育てや狩りも共同で行うため、赤ちゃんが上手く育つかどうかは群れの仲間がいかに協力し合うかにかかっている。ところがこの3匹は子育てに興味を示さなかったため、スタッフは出産から12時間以内に専門家チームにアドバイスを求め、最終的に赤ちゃんを3匹から離して育てるという決断を下した。
また、「哺乳瓶でミルクを与えるのではなく、犬の社会で育成するべき」という助言を受け、インディアナ動物福祉協議会(Indiana Council for Animal Welfare)に授乳中の犬がいないか相談を持ちかけた。
するとその数時間後、子育て中のゴールデンレトリバー“キャシー(Kassy)”が見つかり、リカオンの赤ちゃんが誕生した翌日には、子供たちを連れて同園にやって来たのだった。
そして同園は今月中旬にリカオンの赤ちゃんの動画をSNSに投稿し、一般にお披露目した。SNSで同園は、「キャシーはすぐにリカオンの赤ちゃんを受け入れ、授乳を始めました。そして、まるで我が子のように世話を始めたのです」と当時の様子を明かし、「キャシーは我々の目から見れば“ヒーロー”です」と乳母のキャシーを称えた。
同園のスタッフによると、リカオンは多産であるがゆえに赤ちゃんの死亡率が高く、