英コーンウォールで飼育されている82歳のリクガメが、膀胱結石の摘出のために手術を受けた。摘出された結石はテニスボールサイズで、人間にたとえるとバスケットボールサイズにも相当するほどの大きさになっていた。担当獣医師は「甲羅の一部に穴を開けての手術は、非常に繊細な手術でした」と話したことをイギリスの公共放送『BBC』などが伝えたが、テックインサイト編集部では獣医師から直接話をうかがった。
膀胱結石の摘出手術を受けたのは、英コーンウォールのペンザンスで飼育されているリクガメの“ジョーイ(Joey、82)”だ。異変に気付いた飼い主が、ジョーイを連れて動物病院を訪れた。最初にジョーイを目にした獣医のヴィリアム・ホフリカさん(Viliam Hoferica、25)は、「ジョーイはいつもとは様子が違い、無気力で、普段ほど歩かなくなっていました。これはリクガメが痛みを抱えているなど、良くないことのサインなのです」と当時を振り返る。
原因を探るため、ヴィリアムさんがレントゲン撮影をしてみると、ジョーイの体内に大きな膀胱結石があることが分かった。手術で摘出することを決意したヴィリアムさんは、コーンウォールのブードにある動物病院「Penbode Vets」でエキゾチック・ペットの高度医療を専門に扱うパスカル・メディナ獣医(Pascual Medina)に応援を要請した。
摘出手術を行うにあたり、2人は電動工具を用いてジョーイのお腹側の甲羅の一部をカットし、穴を開ける手段をとった。テックインサイト編集部では、専門家であるパスカル獣医に取材し、今回の手術の最大のリスクについて尋ねた。
「最大のリスクは麻酔の使用と、“プラストロン”と呼ばれる、腹部側の甲羅に穴を開けることでした。爬虫類の代謝は非常に遅く、環境に左右されます。麻酔薬や処置が期待通りに機能し、物事がスムーズに進むために、理想的な温度帯の環境におく必要がありました。また、甲羅を切り開くためには、特別な道具を使う必要があるのですが、その下にある内臓を傷つけないようにしなければなりません。ノコギリで卵の殻を、中の黄身を傷つけずに開くようなものです。」
非常に繊細な作業が伴う手術だったが、