使われた手術器具のリストにこの開創器が含まれていなかったことにあるようで、当時帝王切開に立ち会った看護師が明かした内容がこのように引用されていた。
「スクラブナース(手術器具を手術執刀医に手渡す看護師)からは2つ目の“Alexis ウーンド リトラクター”を用意するように言われたのを覚えています。準備室には無かったのですぐに無菌室から取ってきました。そしてこれをスクラブナースのために開封しておいたのです。」
どうやら1つ目に使用するはずだった開創器は小さすぎたため、急遽新たに特大サイズの開創器が必要になった。使用器具のチェックは切開箇所の縫合前に行うため、2つ目に使用した開創器はリストに含まれていなかった。
また、今回使用された開創器は切開した患部の体外に半分ほど残しておく必要があり、体内に置き忘れるような事態にならないという思い込みもあったようだ。ニュージーランド政府管轄の公衆衛生機関「Te Whatu Ora Health New Zealand」の一部で医療サービスの提供を管理する組織「Te Toka Tumai Auckland」の責任者であるマイク・シェパード医師(Mike Shepherd)は、今回の医療ミスについて次のように謝罪の言葉を述べた。
「『Te Whatu Ora Health』および『Te Toka Tumai Auckland』を代表して、この患者に起こった事態を深くお詫びするとともに、ご本人やご家族が受けた影響について真摯に受け止めていきたいと思います。このような医療事故は極めて稀ですが、これからも私たちは外科医療と産科医療の質を落とさずに自信を持って続けていくことを国民の皆さんに誓って申し上げたいと思います。」
現在、同病院は女性に対して書面で謝罪をするよう勧告を受けており、病院内での業務の見直しが行われている最中とのことだ。医療ミスによる被害は世界中で後を絶たないが、今年5月にブラジルでは、分娩中に医師らに頭を引っ張られた赤ちゃんが、頭部がちぎれて死亡してしまう医療事故が起きている。当時母親は病院側に赤ちゃんが「動物のように扱われた」と訴えていた。
画像は『New York Post 2023年9月5日付「Dinner plate-size surgical tool found inside woman’s body 18 months after C-section」(Applied Medical Resources)(AP)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)