警察の依頼を受けてコングの観察を行った犬の行動専門家キャンディ・ディーサ氏(Candy d’Sa)が、事故当日のイアンさんの様子について次のように語っていた。
「発見当時、イアンさんのそばにはタオルが落ちていた。このことからイアンさんは、コングに布を噛ませて引っ張るという危険な遊びをしていたのではないか。そうして次第に遊びがエスカレートし、コングの生まれながらに持っていた攻撃的な闘犬の本能にスイッチが入ったと推測する。」
「コングはイアンさんの首と胴体に何度も噛みつき、声帯を押し潰し、首の主要な4つの血管全てに穴を開け、脊柱にもひどい損傷を与えていた。」
なおコングはすでに安楽死処置されているが、ディーサ氏は「事故の後、実際にコングに口輪と鎖をつけて遊んでみたところ、攻撃的になるまでさほど時間がかからなかった」と述べ、次のように警告した。
「アメリカンブリーXLは、イギリスでアメリカン・ピット・ブル・テリアの飼育が禁止された後に家庭犬として登場し、今では論争の的になっている。アメリカンブリーXLはアメリカン・ピット・ブル・テリアよりも大きく強く、狩猟犬として他の動物を殺す本能を持ち、マスティフ種のように強靭な顎がある。イギリスでは昨年、10人が犬に命を奪われ、そのうちイアンさんを含む5人はアメリカンブリーXLの攻撃を受けていた。」
ちなみにカラムさんは事故が起きた日の午前10時20分頃、公園で重傷を負い倒れているイアンさんを発見、「彼のそばにいたコングは血を舐めていた。それで恐ろしくなり助けを求め叫んだ。ただコングは落ち着いていて、攻撃的な様子は見られなかった」と述べていた。当時20歳だったカラムさんは事故の後、「犬を管理できずに怪我を負わせ、その結果イアンさんを死に追いやった」として逮捕されたものの、後に釈放されている。
イギリスでは、1991年の危険犬種法により、ピット・ブル・テリア、土佐犬、ドゴ・アルヘンティーノ、フィラ・ブラジレイロの4種の所有、繁殖、販売などが禁止されているが、「アメリカンブリーXLを禁止すべき」「繁殖や販売には規制を設けるべき」といった声が多数あがっているようだ。
画像は『The Mirror 2023年4月7日付「Dog walker mauled to death by 8-stone ‘super breed’ that crushed his neck with jaws」(Image: Facebook)(Image: David Clarke/Solent News)』『The Irish Sun 2023年4月6日付「DOG ATTACK Man died when 52kg XL Bully ‘crushed his voice box’ in horror attack after beast bought from travellers on Snapchat」(Credit: Alamy)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)