主催者であるペニー・グリーンさん(Penny Green、62)に連絡したところ、ティモシーさんの生い立ちに興味を持った彼女が実の親捜しを助けてくれることになったそうだ。
地元コミュニティ「ヤテリー協会(Yateley Society)」によると、1945年から1970年までバプテスト教会によって運営されていたヘブンでは1800人近くの赤ちゃんが誕生したそうで、ペニーさん自身もそこで生まれたという。
「当時は未婚の母であることが社会的に認められていなかったので、そのような女性たちはヘブンに身を寄せていたのです。母親たちは我が子が養子に出されることは知っていてもその日時までは知らされず、別れを告げることもできなかったそうです。ある母親は子供が養子に出される際に持たせるおもちゃを作っていましたが、それを渡すこともできませんでした。中にはトラウマを抱えて閉じこもってしまった母親もいました。」
そのように明かしたペニーさんは、この施設に縁がある人々のためにFacebookグループを作成したそうだ。
その後、ティモシーさんはペニーさんのアドバイスに従い、市民登録局で出生証明書のコピーを請求した。そこには生年月日と出生地、母親のフルネームが記載されており、ペニーさんは選挙人名簿とインターネット検索を利用して実の母親であるジューンさんの居場所を突き止めた。
さらにティモシーさんは、ジューンさんの現在の夫であるマイケル・モーティマーさん(Michael Mortimer)にメールを送った。
マイケルさんはメールの内容を息子のクリスさん(Chris)とグレッグさん(Greg)に伝え、ティモシーさんは異父弟の2人と会うことにした。
「2人とも親切で思いやりのある素晴らしい男性でした。私は人生のこの時期に異父弟たちに出会えたことをとても幸運に思っています。さらにクリスのパートナーのアマンダ( Amanda)やグレッグのパートナーのジェマ(Gemma)、そして彼らの子供たちにも会えたことが本当に嬉しいのです。今後は彼らとの交流を楽しみたいと思っています。」
そして2022年9月19日、ついにジューンさんとの再会を果たしたティモシーさんは当時のことをこう振り返った。
「母の瞳に映る自分の姿を初めて見ることができて、感動的であると同時に自然な感じもしました。私たちはいろいろなことを話しましたが、一番楽しかったのはただ母を見て母という人間を受け入れることでした。母は3人きょうだいの末っ子で、10歳年上の姉オードリー(Audrey)と8歳年上の兄ビル(Bill)がいて兄はまだ健在だそうです。」
「私の父はイラン系イスラム教徒で名前はヘダヤット・ママガン・ザーディ(Hedayat Mamagan Zardy)、母は17歳で妊娠し18歳で私を出産しました。母は1966年に結婚し、2人の息子であるクリスとグレッグが生まれたとのことでした。また母は16歳の時にも男児を出産したそうですが、養子に出されて以来、その子とは会っていないそうです。」
実の母に会えたことで、実の父のことやさらに兄がいることも知ったティモシーさんは、父と兄を捜す旅はまだ始まったばかりだと話す。そんな彼は実の家族に出会えた経験についてこのように述べている。
「自分の生い立ちを調べるには、心は広く、自らは強くいることが大切です。弟たちに出会えたことはとても楽しいことであり、刺激的なことでもあります。私は今後も母を訪ね、そして仲良くできることを楽しみにしています。」
画像は『BBC 2023年2月5日付「Adoption: Son finally meets birth mum after 58 years」(TIMOTHY WELCH)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)