イタリアで今月10日、35歳の男性が脳腫瘍の摘出手術を受けた。サックス奏者の男性は脳手術の影響により自身の演奏能力が失われてしまうことを恐れ、手術中に意識を保てる「覚醒下手術」を受けることを選択し、9時間に及ぶ手術を受けながらサックスを演奏し続けた。医師らも演奏される曲を事前に正確に覚える必要があったという驚きの手術について『CBS News』などが伝えている。
開頭手術中に意識があるという体験をしたのは、イタリアで音楽家として活動する35歳の男性だ。名前は“C.Z.”とだけ明かされているこの男性は、脳腫瘍の摘出のためにローマの「パイデイア国際病院(Paideia International Hospital)」にて手術を受けることになった。
しかし担当医で脳外科医のクリスチャン・ブローニャ氏(Christian Brogna)によると、この男性の脳腫瘍は複雑な場所にあり、術後に脳機能の障害が起きる可能性があったという。演奏を生業としキャリアを積んでいた男性は自身の演奏能力を失うことを恐れ、「覚醒下手術」の専門家であるクリスチャン氏を頼った。
覚醒下手術とは脳機能を温存しながら脳腫瘍を摘出するもので、患者の意識がある状態で会話や手足を動かしたりすることで脳機能に影響がないことを随時確認しながら手術を進めていく。今回の場合はサックス演奏に関する機能を維持したかったため、手術を受ける男性は開頭手術を受けながらサックスを吹くことになった。
手術当時の様子を撮影した動画には手術台に横たわる男性の姿が映っており、