南アフリカ・ダーバンのInkosi Albert Luthuli中央病院で、非常に稀な手術が行われた。頭部切開で腫瘍を摘出することになった患者が、手術中にギターを弾いているのだ。米ドラマ『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』で似たような手術があったが、まるでそれを模倣したかのような手術だったと南アフリカメディア『IOL』などが取り上げている。
ムサ・マンジニさん(Musa Manzini)は、ジャズベーシストとして南アフリカで有名なミュージシャンだ。現在47歳でありながら2006年以降、2度の脳腫瘍を切除する手術を受けている。残念ながら再び腫瘍が見つかり切除手術をすることになったが、今回は覚醒下による開頭手術に踏み切ることとなった。この日のため、脳神経外科を専門とするバジル・エニッカー医師とローヘン・ハリシャンドパーサッド医師率いるチームが結成された。
エニッカー医師によると、覚醒下開頭手術は言語・運動などに関わる「機能領域」に近接する部位で行われるとのこと。万が一この部分にダメージを受けると、麻痺が起きたり、感覚または話すことに問題が生じてしまう。そこで摘出する部位に電気刺激を行いながら発話、運動の有無などで機能領域を把握し、摘出範囲を決定する。こうすることで脳に与えるダメージを最小限にしながら、できる限りの腫瘍を摘出することが可能になるというのだ。
マンジニさんは、何種類もの楽器を演奏できる受賞歴のある音楽家であり、