骨折しても火傷しても全く痛みを感じないとしたら…それは「まるで夢のよう」と思う人もいるかもしれない。だが痛みは「あなたの体には特別なケアが必要」と教えてくれるシグナルであり、生きていくには非常に大切なものである。このほど痛みを感じない稀な疾患「先天性無痛症(CIP)」を患う男児の母が、病気や痛みの大切さ、悩みなどについて『The Mirror』に語った。
英ノーフォーク州ワイモンダム在住のスティーブさん(Steve、53)とドナ・スキットモアさん(Donna Skitmore、46)夫妻の息子ザック君(Zach、9)は、非常に稀な難病「先天性無痛症(CIP)」を患っている。CIPは文字通り痛みを感じない遺伝性の病気で、ザック君は両親2人から変異遺伝子を受け継いだことで発症した。
ザック君がCIPと診断を受けたのは6歳の時で、夫妻は「私たちの4人の子供のうち、CIPを患うのはザックだけ。診断されて初めて、自分たちが変異遺伝子の保因者だと知ったの」とかなりの衝撃を受けたことを明かし、このように続けた。
「医師からはアメリカでは約60例が報告されていること、CIPを発症する割合は100万人に1人いるかいないかという稀な病気であるとの説明を受けたけど、リサーチするまでCIPについては全く知識がなかったの。でも私が最初におかしいと思ったのは、あの子が生後9か月の時だったわ。」
「ザックは赤ちゃんの時、注射を受けても泣かなくて。看護師に『こんな赤ちゃんは初めて見た』と言われたのよ。」
「1歳の時は私たちが気付かぬうちに舌を噛み切っていたし、4歳ではお城の形をしたエア遊具の中で遊んでいて股関節を脱臼したの。医師は『普通なら酷い痛みで座っていられないはず』と、最初は息子が脱臼したことを信じてくれなかったくらいよ。医師が外れた骨を元の位置に戻す時も、あの子は全く平気な顔をしていたわ。」
「普通の子は熱すぎるとか痛すぎると感じたら、そこには近づかないでしょう。でもザックは痛みを感じないから、危険を回避することができないの。それで気が付いた時には、とんでもない怪我をしているのよ。」
痛みを感じないために限度を知らないザック君は、3~4週間に一度は病院の緊急外来を訪れていたそうで、