今から4年半前、最愛の娘を交通事故で失った夫婦は、車を運転していた娘の友人に憎しみを抱くのではなく、赦すことで立ち直った。事故直後の夫婦の心の葛藤や、現在の男性との関係を『The Mirror』『The Forgiveness Project』などが伝えた。
イギリス在住で牧師のフェルナンドさん(Fernando、63)とエリザベス・ヒメネスさん(Elizabeth Jimenez、50)夫妻は2017年3月22日、英ブライトン大学の学生で24歳の誕生日を間近に控えていた娘マリアさんを交通事故で亡くした。
マリアさんはその日、教会のバンドのメンバーとのディナーの席でワインを楽しみ、一緒に来ていた友人のニック・ティ(Nick Tay)に帰宅時の車の運転を頼んでいた。
マリアさんの車は運転者が限定されていたためニックは無保険で、事故当時は片側2車線の道路を制限速度の2倍以上にあたる時速177キロで走行しており、車はコントロールを失って中央分離帯に衝突し横転した。ニックはかすり傷だけで済んだが、マリアさんはシートベルトをしておらず、車外に放り出されたことが致命傷となった。午前1時20分頃のことだった。
フェルナンドさんは1995年にエリザベスさん、3歳の息子、マリアさんを連れてコスタリカからミッショナリー(伝道師)としてイギリスに移住、事故当時は教会に近いギルフォードに引っ越したばかりだった。一方のニックは2016年、シンガポールから勉強するために単身渡英しており、事故当時は25歳だった。
フェルナンドさんは娘の事故を知った時の心の葛藤を次のように語っている。
「朝6時だったよ。警察が突然やってきて、娘の死を知らされたんだ。心の準備などできるはずもなく、私はその場に崩れ落ちて泣いたよ。」
「知らせを聞いた直後は本当にショックでね。娘に車を買い与えたことを悔やみ、車を運転していたニックに憎しみを覚えた。ナタで殺してやりたいとさえ思ったんだ。」
そしてエリザベスさんも、娘の突然の死が信じられず夫と一緒に泣いた。しかしふと、