英ロンドンを流れるテムズ川に先月から生後10か月のアザラシが棲みつき、その可愛らしい姿はロンドン住民を虜にし“フレディ・マーキュリー”のあだ名で愛されていた。しかし先日、犬に襲われて治療を受けたものの回復の見込みはなく、獣医により安楽死が決断されてしまった。この件で犬の飼い主は警察から事情聴取を受けたが無罪となり、ネット上では多くの人が怒りを爆発させている。『The Guardian』などが伝えた。
ロンドン西部のテムズ川にかかるハマースミス橋は映画『ボヘミアン・ラプソディ』のロケ地の1つであり、そこに棲みついたことでこのアザラシは“フレディ・マーキュリー”と呼ばれるようになった。
まだ幼い顔つきで愛嬌があり、その姿は地元メディアでも取り上げられ住民の心を鷲掴みにしていた。
しかし今月21日の午後、テムズ川沿いで茶色のミックス犬に襲われているフレディの姿を獣医1人を含む4人の通行人が発見し、協力して犬をフレディから引き剝がした。その後、犬は飼い主により呼び戻され、飼い主はそのまま現場を立ち去ったという。
当時の様子を捉えた写真では、犬に襲われているフレディが苦悶の表情を見せており、目を背けたくなるような光景だ。この写真を撮影したダンカン・フィリップスさん(Duncan Phillips、55)は「本当に獰猛な犬でした。救助に入った人が何度も引き剝がそうとしていましたが、犬はフレディのことを全く離そうとしなかったのです」と振り返っている。
海洋生物の救助を行う団体「British Divers Marine Life Rescue(BDMLR)」が駆けつけるまで、目撃者はフレディのそばに寄り添って待っていたそうだ。フレディはロンドン東部にある動物病院「South Essex Wildlife Hospital(SEWH)」に運ばれ治療が行われた。
SEWHがレントゲン検査を行った結果、フレディの足ひれは骨折し、関節は脱臼、じん帯や神経も傷ついている状態だった。足ひれの損傷に加えて体には他にも噛まれた傷が残っており、感染症も懸念された。
SEWHはFacebookで「治療のために骨を固定させようとしましたが、フレディをじっとさせておくことは難しく、脱臼も治すことができないと判明しました」と明かしていた。
どうにかしてフレディの酷いケガを治すことができないかと考えたSEWHは、