南アフリカではロックダウンに入ってからまもなく3か月が経過する。徐々に緩和されてはいるものの、いまだ営業許可が下りないのがヘアサロンやネイルサロンなどの美容業界である。そんな中、一人の美容師が自らの髪の毛で心の葛藤を表現して話題になっている。『News24』など複数のメディアが伝えた。
南アフリカ・東ケープ州のウイテンヘージ(Uitenhage)という小さな町に住むオネレ・センビさん(Onele Cembi)は、低所得者層の住むタウンシップでドレッドヘアサロン「Odds and Odz Dreads Salon」を経営している。しかし彼の経営するサロンは3月26日から続くロックダウン規制のため営業できず、月3万ランド(約18万4千円)ほどの収入もゼロになった。センビさんの姉妹やガールフレンドもこの店で働いていたが、今は全く仕事がない。6人の子供をもつ父親でもあるセンビさんにとっても死活問題だ。
南アフリカ政府は、この事態の中で経営が悪化した会社のために「小規模事業向け救済基金」を行っているが、提出書類がタウンシップで経営する小さなサロンでは到底準備できないものばかりで、センビさんは「申し込みすらできない状況だ」と嘆く。タウンシップに300以上もあるサロンのうちで、救済基金を受け取ったという店はないとのことだ。
何もできない状況に煮詰まったセンビさんは5月初め、自身のドレッドヘアで作った「COVID19」という文字をぐるぐると巻いたドレッドヘアの上にのせた独特な立体ヘアアートで話題になった。オレンジ色の使い方がアフリカらしいこのヘアスタイルは、