1月13日、南アフリカでは多くの学校が新学期を迎えた。新しい環境に心はやる子供たちの中、南アフリカ・ケープタウンのタウンシップ・カエリチャに住む少年はドレッドヘアであるために高校から通学を拒まれてしまった。
高校への登校初日、少年が母親と学校へ行ったところ、担任から髪型が規則に合わないということで家に帰るように告げられた。南アフリカの学校にも身だしなみに関する校則があり、多くは「女子は肩に髪がつくとゴムで結ぶ」「男子は耳の上に髪がつかない短髪」というものだ。生徒の髪が長い場合は家に帰らされることもある。
この少年、昨年の入学前に行われた面接でドレッドヘアについては特に指摘されなかったそうで、少年の母親は「なぜ今頃になって言われるのか」と怒りがおさまらない。少年の家族は、ジャマイカ発祥のアフリカ回帰思想であるラスタファリアンだった。ラスタファリアンと言えば故ボブ・マーリーが知られているが、菜食主義、ドレッドヘア、ガンジャ(大麻)を聖なるものとしている。
母親は息子のドレッドヘアを「ラスタ思想のため切ることはできない」と学校側に説明したが、逆に「少年がガンジャを吸わないとしても、そのうち学校でガンジャを売ることも考えられる」と言い返された。学校側のやや強引な主張には理由があり、以前にラスタファリアンと偽り他の生徒にガンジャを売っていた生徒がいたからだった。
このままでは埒が明かないと考えた母親は、息子の薬物検査や校長との面会を希望した。翌日、少年の両親がようやく校長と面会したところ、学校理事会に“ドレッドヘアで学校生活を続けたい”といった手紙を書くように言われて帰された。
この件について平等な教育法を掲げるセンター『Equal Education Law Centre』の弁護士は、学校の規則を盾に生徒が差別されていることを認め「“宗教や慣習に捉われない校則を決めることで、適切な環境を学習者に与える義務がある”という憲法裁判所の宣告に反する」と述べている。
南アフリカの学校法によると、髪型を含む制服に関する校則は理事会で決められる。多宗教、多人種を誇る南アフリカの基礎教育省は、宗教や慣習を考慮したうえでの規則制定ガイドラインを発行しているとのことだ。
出典:http://www.iol.co.za
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)