筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断され、自分の力では十分に呼吸ができなくなった父のため、イラクに米軍兵士として派遣されていた息子がサプライズで自宅に戻った。元同僚の警察官らも一肌脱いだ親子の再会は、『Fox News』『Good Morning America』などのメディアが伝え拡散している。
米カリフォルニア州フレズノ在住のヘスース・サリナスさん(Jesus Salinas、53)は昨年9月、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された。ALSは筋肉を動かすための神経(運動ニューロン)が侵され、次第に自発呼吸ができなくなる難病で、進行を遅らせることはできても完治は難しいとされている。
ヘスースさんには22歳の息子のジョーダンさんがおり、告知を受ける2か月前に米軍の特技兵としてイランに派遣されていた。当時ヘスースさんは歩くことや話すことも可能で、声がかすれるなどの症状があったものの「副鼻腔炎に罹ったのだろう」とさほど気にも留めなかったという。
しかし9月に病名が判明すると症状が急激に悪化し、ヘスースさんは話すことができなくなり、車椅子が欠かせなくなる。また右前腕の力が入らなくなり、人工呼吸器を装着するようになった。日常生活に支障が出るようになったヘスースさんは今年1月、警察官として20年間勤めたフレズノ警察署を辞める決意をしたのだった。
3月末、ヘスースさんは血液中の二酸化炭素レベルが高くなり、集中治療室に入院した。予断を許さない状態が続いたが、4月2日には退院し自宅でケアを受けることになった。帰宅するにあたりヘスースさんのきょうだいのノルマさん、義理のきょうだいのステファニーさん、妻サラさんは話し合いを持ち「あとどのくらい生きられるか分からない。せめて残された時間は楽しい思い出を作っていこう」とみんなで支えることを誓い合った。
そしてノルマさんとステファニーさんは「ジョーダンをサプライズで帰国させたい」と動き出した。2人は米赤十字社に連絡を取り、