警察は「70発の銃弾は、農園に侵入したゾウを‟殺す”ためであったのは明らかだ。そのうえで金になる牙を切り取ったということだろう」と報復と密猟が同時に行われたことを示唆している。
ボルネオゾウは1997年の野生生物保護法(Wildlife Conservation Enactment 1997)で保護されており、殺害した場合は懲役5年の有罪、または罰金約640万円(25万マレーシアリンギット)が科されるが、州政府は今後、刑罰を重くすることも検討しているようだ。
世界自然保護基金(WWF)によると、野生のボルネオゾウの生息数は約1,500頭で絶滅危惧種に指定されている。パーム油の需要増加に伴いアブラヤシ農園開発がブームとなったボルネオ島では、熱帯雨林が減少しボルネオゾウの生息地が脅かされている。ツゥーガ氏は「過去10年で約100頭のボルネオゾウが銃や毒によって殺され、そのほとんどのケースで牙が切り取られている。また近年では、農園を荒らしにやってくるボルネオゾウが報復のために殺されるケースも増加している」と明かしている。
人間に住む場所を奪われたボルネオゾウが好物のヤシを食べに農園に侵入し、大切な農園を荒らされた人間がゾウに憎悪を抱き殺害する。そして牙を切り取り、金に換える。サバ州では、密猟だけが目的ではないゾウの殺害も頻繁に起こっているのが現状なのだ。近年ではサバ州政府やNPOが中心となってアブラヤシ農園とボルネオゾウの共存への模索が始まっていると言われるが、対策のスピードを上げないとボルネオゾウはますます希少になってしまうのではないだろうか。
ちなみに今年7月には、アフリカ南部ボツワナで牙と鼻を切り落とされ、顔が深くえぐられたゾウが発見されていた。密猟者はゾウから手っ取り早く牙を取り出すために毒矢や銃でゾウを倒し、死後硬直が始まる前にまだ生きているゾウの顔をチェーンソーでえぐり取り、鼻を切り離すのだという。
画像は『LADbible 2019年9月30日付「Body Of Endangered Pygmy Elephant Found With 70 Bullet Wounds」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)