writer : tinsight-takazawa

「老後2,000万円問題」にどう立ち向かう? 岸博幸氏「年金だけで大丈夫ではない」

岸氏は「『老後2,000万円問題』で明確になったように、元々老後年金だけで大丈夫なんてことはないんです」と言及し、「そう考えると若い世代は早いうちから資産運用とか自分の身は自分で守ることをやっていかなければならない」と警鐘を鳴らす。

岸氏は「日本は残念ながら他の先進国と比べて金融投資をしている人の割合が非常に低いです。これは経済と金融が難しく感じてしまうことからハードルが高く、投資を躊躇してしまう人が多いのが理由」と現状について述べ、「金融投資を失敗して損する人は博打(ばくち)をやっちゃうから必ず失敗するわけで、博打にならない安全な形でやる方法は当然いっぱいあります。それは、経済や金融の知識がある程度入るだけでできるんですよね。残念ながらそういう最低限の知識を教えてくれる場がないのが現実」と話し、「アメリカなんかでは、子供の頃から金融の教育をするのは当たり前なのですが、その一方で日本では“お金は汚らわしい”みたいなイメージが昔からあるので、経済金融に関するまともな教育を一切してないよね」と日米の違いも挙げた。

経済金融の教育をしていないのに、「貯蓄から投資」を勧める政府に対し「無責任だと思う」と岸氏。教育不足やハードルの高さを補うために「“AI”というのはそういうハードルが高いものをだいぶ下げてくれる要素が大きいです」と岸氏はAIに期待する。KDDIと三菱UFJ銀行が共同出資して設立したインターネット銀行「じぶん銀行」の臼井氏は「AIの話で言うと、じぶん銀行では誰でも分かるような顔の絵を用いて、AIが予測した為替相場変動の結果を一覧表示する『AI外貨予測』というサポートツールを提供しています。予測はあくまで予測なのですが、大体70%ぐらいの的中率になっています。“絶対”ではないのですが、これを参考にしていただくことによって、より金融というものが近づいてくるんじゃないかと、そんな風に考えています」とAIを利用した一例を挙げた。

「じぶん銀行が描く金融の未来 臼井朋貴社長×岸博幸 特別対談」より

岸氏はじぶん銀行について「FX・投資・外貨に対してハードルが高いと感じている人のために、漫画でFXのイロハを教えるコンテンツも用意されています。そういうのは非常に金融教育という観点から、役立っているなっていうのは真面目に思いますね」と評価し、「もっとユーザーの方に金融の世界の知識を分かりやすく伝えて、金融投資に関する心理的なハードルを是非下げて頂きたい」とさらなる期待を寄せた。

「じぶん銀行」社長・臼井朋貴氏

臼井氏が「金融業界は2、30年前と全く変わっていると思います。例えば銀行の支店に行くことは今やほとんどないと思います」と話す通り、銀行の在り方も時代とともに変わっている。生活する上で必要不可欠な“お金”だからこそ無関心ではいられない。ときには頼れるモノの力を借りて時代の流れに対応することも一案だろう。
(TechinsightJapan編集部 高沢みはる)

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