「吹き替えを録る前に、スタッフのおじさんたちが『アンパンマンのマーチ』を一緒に合唱してくれるんですよ。なんてシュールな絵だと思っていたんですが、その意図は『子供たちがこういう気持ちでこれから観るから、作っている側も楽しく笑顔でやらなきゃいけないんだよ』って。私が緊張していたので盛り上げてくださって。アンパンマンは素晴らしいけど、やはり制作している方々も素晴らしいんだなと分かりました」とにっこり微笑んだ。
また「今回は本当に戸田さんに助けていただきました。2日間に分けてアフレコしたんですが、さすがに戸田さんに図々しく相談するのはできないから自力で頑張ろうと思っていたんですが、一日目が終わったら本当に難しくて『戸田さんにすみません。難しいです!』と泣き言のメールをさせていただきました。的確にアドバイスをいただきました。ありがとうございました」と感謝の思いを伝えた。ちなみに榮倉と戸田は、近年では昨年放送の連続ドラマ『僕らは奇跡でできている』(関西テレビ制作・フジテレビ系)で共演している。
これを受けて戸田は「美談になっていますけど、全然たいしたことじゃないんですよ」と謙遜。「アンパンマンを愛するがゆえに奈々が一生懸命やってくれて、この思いの丈がメールに来まして。こんな真面目に考えてくれているんだとこちらも嬉しくなって。(榮倉は)かわいいお子さんの子育て奮闘中ですけど『自分の子供のような感じでやってみたらどう?』と送り返しました」とアドバイスの内容を明かした。そして戸田が「悩んでくれた結果、榮倉奈々のすべての良さが詰まっているような役に出来上がりました。バニラ姫の成長=奈々ちゃんの成長ですね」と評すると、榮倉は「嬉しい。ありがとうございます」と頬を緩めた。
舞台には、ストーリーに登場する「アイスの国」が本物のアイスで再現されて登場した。これには登壇者たちも「本物のアイス?」と驚きながら、「美味しそう~」などと盛り上がった。
アンパンマンの原作者で2013年に他界した漫画家・やなせたかし氏は毎回アンパンマンの映画の舞台挨拶に出席していたそうだが、最後に戸田は「この映画は“笑顔”がテーマになっています。やなせたかし先生が『笑顔が大事だ。人生は喜ばせごっこだ。人が喜ぶことをおやりなさい』と常に私たちに言ってくださいました」とやなせ氏を偲び、「アンパンマンのレギュラー番組は31年続いていますが、『大切なものは何か』を教えてくれるアニメーションだと思っています。安心して子供に見せられる番組だと自負しています」とアンパンマンへの誇りを胸に、「今日だけじゃなく二度三度といらしていただければ幸いです」と呼びかけた。
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)