傷害事件が連日のように起きている米ニューヨーク市にあって、これは事件の発端からしても非常に珍しいケースであろう。ある地下鉄の車内で発生した流血事件についてニューヨーク市警が発表し、大きな話題を呼んでいる。
事件が起きたのはBMT(ブルックリン・マンハッタン・トランジット)が運行するベイ・リッジ–95丁目駅(Bay Ridge–95th Street)行き地下鉄R系統4番街線で、23日午前2時頃のこと。車内に座っていたレジー・フランク(47)という男が自慰行為を始めたことが事件の発端であった。公然わいせつ行為のターゲットとなったのは42歳の女性(氏名などは明らかにされず)。ホテルで働いており、仕事の疲れで眠り込んでいたなか目を覚ますとフランクが奇妙な動きをしており、いやらしい視線が自分に向けられていることを感じ取ったという。
女性は悲鳴を上げ、これに腹を立てたフランクは隠し持っていた唐辛子スプレー取り出して女性の顔に向かって吹き付け、ナイフを手にした。しかし女性はひるむことなくフランクに立ち向かい、ほどなく電車はサンセット・パークの36丁目駅に到着。両者の激しいもみ合いは駅のホームでも続けられた。やがてフランクからナイフを奪い取ることに成功した女性はフランクの胸と腕の2か所を刺し、自身も手を切りつけられて病院で15針縫っている。
女性のきょうだいは『NY Daily News』の取材に、「彼女は普段からとても強い女性なので良かったようなものの、これが子供だったらと思うとぞっとします。あの男にはもうここに現れないで欲しい」と話し、怒りをあらわにしている。しかし予備審問を経て正式に起訴が決まったフランクについて、ウィリアム・O・フォウルクス弁護士は「フランクをむやみに刺激して激しく怒らせたこと、そして怪我の重傷度を考えれば彼女の方が攻撃者だ」と訴え、真っ向から対決する構えを見せている。
だがフランクに同様の犯罪歴が多数あることも判明した。2006年にはやはり地下鉄の車内で2度にわたり下半身を露出させ、